とにかく、麦刈りは終わりました他
食料自給・・・と言っても、野菜でそんなにお腹を満たす事はできません。サツマイモとかジャガイモとか里いもとかカボチャなら別ですが・・・。
やはり、お腹を満たすには「穀物」が必要です。
穀物と言えば、日本では「米」ですね。
しかし、「米」は、畑の片隅で「チョコ」っと作るのは難しいです。
「水田」はだだっ広い、小さいと言っても1反(1000平米)ぐらいの面積単位になっている事が多く、その面積を田植えするのは、手作業だと相当大変と言うより、現代人にはほぼ無理でしょう。
田植え機とか収穫用のコンバイン等があれば、中間、つまり、田植えから収穫までの間は、そんなに手間はかかりません。
多くの農家が「兼業」で「週イチ農業」で済んでいるのは、稲作が機械化されているからです。
ただし、「機械」は高いです。田植え機は、何十万とか何百万とかします。乗用でなく、手押しタイプで中古なら数万円のものがある場合もありますが、売り主が遠方にいて、事実上、購入できない場合もあります。
(旅行を兼ねて引き取りに行くと言っても、普通の車には乗りません。売り主のいる地方までトラックを借りて行くかと言う話になります。)
どうしてこうなるかと言うと、「水田」は「水の管理」が必要だからです。
用水路から水を引き、「掛け引き」と言って、水を張ったり、落としたりします。これをやるには、用水路から田んぼまでの「導入」のための水路や「排水口」が必要になります。家庭菜園みたいな小さい場所で、いちいち、導入路や排水口を作るのは大変な手間がかかります。水田は一定以上の面積で管理されている事が多いのです。
「陸稲(オカボ)」と言って、畑で米を作る方法もあります。それから麦は畑で作れます。
オカボや麦の場合、家庭菜園的な小さいスペースで「チョコ」っと作ることも可能です。
では、「チョコ」っと作って、どのくらい採れるでしょうか?
日本の今の稲作の技術を使えば、最大で10俵取り=1反(1000平米)あたり600キログラムの米が採れると思います。
ただし、そんな事をしている農家や法人はほとんどいません。だいたい400キログラム台ぐらいの反収がほとんどだと思います。
畑でオカボや麦を育てる場合、もっと面積あたりの収量は減るとすると、せいぜい300キログラムぐらい、もしかするともっと少ないと思われます。
1反の畑を借りて、その10分の1の面積で作るとすると、収穫量は20-30キロ程度です。
ところで日本人一人あたりの米の消費量は過去には110キログラムぐらいありましたが、現代は50キログラム程度と半分以下に減っています。
米の消費量が減った分、例えば、小麦が増えているかと言うとそうでもなく、「肉」や「油脂」が増えています。
日本人の食生活は、過去に比べて、肉食・油脂消費が増えているのです。(餌や油脂原料を輸入に頼っているため、「肉」そのものは国内産でもカロリーベースの食料自給率は下がる形になっています。)
別の要素もあります。
僕の知り合いで、「備蓄米」方式、つまり、その人の倉庫にあなたの備蓄米を置いておくから、お金を出して下さいと言うのをやった人がいます。一人あたり60キログラムぐらいの消費量だった時に、60キログラム分のお金をもらうと言うようにしたそうです。
しかし、実際には、その半分ぐらいの量しか、引き出されなかったそうです。けっこう外食などをしているため、家庭で炊飯する量は、一人あたり消費量より更に少ない量に留まったのが原因と思われるとの事でした。
こうやって考えてくると、オカボや麦を「チョコ」っと作って20-30キログラムの穀物が採れるとすると、現代日本人が一人あたり食べている量の相当な部分を賄える計算になります。
と、ここまでは良いのですが、実は、米や麦を育てた後、食べられるようにするには、課題があるのです。
米や麦の実は「穂」についています。この「穂」から外す「脱穀」と言う作業が必要になります。
それから、米だったら「籾(もみ)」と言う硬い殻に覆われているので「籾摺り」と言って、その硬い殻を取り除く作業が必要になります。
籾摺りが終わって出来たものが「玄米」です。玄米から更にヌカを取り除く「精米」をして、「白米」が出来ます。
麦の場合も、やはり殻やフスマ(米の場合のヌカに相当する部分)を取り除く作業が行われます。
この精製過程は、例えば、米ならJAが「カントリーエレベータ」と言う施設を持っていて、その施設内で精米が出来ます。
カントリーエレベータの精製設備はかなり大規模で家庭菜園で「チョコ」っと作ったもののために稼働してもらうことはまず無理でしょう。
ですから、「チョコ」っと作ったものは手作業で精製する必要があります。
「チョコ」っと言っても20-30キログラム、場合によってはそれ以上あるわけですから、それを手作業で精製するのは大変な気がします。
と言うより、あまり例がないのです。
環境教育などのため、学校菜園で麦を作った場合、出来た麦を「ソフトボール」等で「グリグリ」やって、殻を取り除くと言う資料を見たことがあります。
ソフトボールで「グリグリ」は数キログラムならできそうですが、数十キログラムあると、ちょっと無理そうです。
昔は「麦打ち」と言って、棒で叩いて、殻と実を分離させていたそうです。もちろん、それは20-30キログラム程度のものではなく、農作業も手作業で行われていた時代ですが、もっと大量のものを対象にした作業だったでしょうし、けっこう大変な手間だったと思われます。
そうやって考えてくると、オカボや麦を「チョコ」っと育てて、精製する手法・・・半農生活や家庭菜園のためのオカボ・麦の栽培&精製方法は、未開発部分が多いように思われます。
そもそも、半農生活や家庭菜園でオカボ・麦を育てると言う発想そのものがあまり知られていないと思います。
と言うわけで、この間の世界的な食料供給の不安増大の中、「お赤飯プロジェクト」・・・畑でオカボとか麦とかを育てて、オカボは白米でなく、赤とか緑色した「有色米」にして、成功して日本人を飢えから救うことに貢献できたら、お赤飯炊いてお祝いしようと言う意味ですが・・・に取り組むことにしました。
昨年春に、麦をまいたのですが、結局、生えてきた雑草の中に埋もれてしまいました。オカボも苗床で雑草との分離が難しく、「田植え」ならぬ「畑植え」できたものはごくわずかでした。
日本の夏に繁茂する雑草には「イネ科」が多く、生育初期の米や麦と区別がつきにくい事が多いのです。また、水田の場合と違って、「畑植え」の場合、植え替え後に地面が乾いていると定着するまで時間がかかり、その間にイネ科雑草が繁茂してくると、その雑草を稲や麦と区別して取り除くことが困難になることが多いのです。
昨年冬、捲土重来(けんどじゅうらい=改めて挑戦すること)を期して、麦を種まきしました。またこの間作ったオカボの苗床も、種まきの方法を工夫して、雑草との見分けがつきやすいようにした「つもり」です。(あくまで「つもり」ですが・・・)
さて、とにかく、昨冬まきの麦が大麦も小麦も実ってきたので、「麦刈り」をしました。
麦は今の時季・・・つまり、梅雨時に実ります。
俳句では「麦秋」は6月の季語です。
実った状態で雨に打たれ続けると、せっかくの麦が駄目になってしまいます。
そういうわけで、最後はかなり「アセアセ」って感じで麦の収穫をしました。
これから「精製作業」に入ります。さて、うまくいきますでしょうか?
お赤飯までの道のりは、まだまだ遠そうです。
2週間予報は、来週後半、最高気温が平年値より3-4℃高の状態が続くとしています。
昔は、3月頃に前年の米を食い尽くし、麦が採れるまでの間、ロクな食べ物がない中、草取りなどの過酷な農作業をせざる得ない、ちょうど今頃の時季を「難月」と呼んだそうです。
今週は、秋冬どりのブロッコリー、キャベツ、セロリなどの種まきをする予定です。
そう言えば、芽キャベツも育てたいです。
台風の影響で雨の日もあり、これはこれで一種の「難月」になっているかもしれません。
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