見出し画像

コロナ危機を乗り越えるべく、工夫を凝らすアメリカの飲食店

新型コロナウイルスの猛威にさらされる飲食業界。

外食ができなくなった今、多くの飲食店が経営難に直面している。
この危機を乗り越えようと、テイクアウトやデリバリーサービスを開始する飲食店が続々登場してきている。

医療崩壊が叫ばれているニューヨークの状況は、東京よりも厳しい。
市内全ての飲食店に対し、持ち帰りや配達以外での営業が禁じられている。

画像1

このため、多くの飲食店が生き残りをかけて様々な施策を実施している。
先日アメリカの飲食店が行っている施策をTwitterでつぶやいたところ、

note番長のヤマシタさん

から「noteにまとめて!」というリクエストを頂いたので、今回は店内営業ができなくなったアメリカの飲食店が行っていること、そして苦しみながらも「食で人々を勇気づける」という想いの下頑張っているアメリカの飲食店の取組みを紹介したい。

店内での営業が禁じられたアメリカの飲食店が行っていること

1.スペシャルなテイクアウト商品の販売

日本でも多くの飲食店がテイクアウトを始めているが、単なるお弁当ではなく、「このタイミングだからこそ」の商品を出してきているのがユニークだ。

例えば、「Smart food for a good mood」をコンセプトに、身体だけでなく心をも元気にさせるスムージーを中心にヘルシーフードを取り揃えた、医者監修のカフェ「Dr. Smood」

画像2

コロナウィルス発生後は、ビタミンやハーブなど、免疫力を高め、病気予防の効果を高めてくれるスムージーやエナジーショットをセットにした「Ultimate Immunity Box(究極の免疫力向上ボックス)」をオンライン販売している。

また、NYの高級イタリアンレストラン「Carbone」では、前菜からステーキ、パスタ、デザートまで、さらにはワインなどのアルコール類も提供している。

画像3

普段は予約が難しいレストランのフルコース料理は、家での食事時間を優雅にしてくれるに違いない。

コース料理をオーダーしたら、それに合うワインをソムリエが選んで付けてくれたり、今年はお花見ができなかったため、桜の花と一緒に「豪華お花見弁当」のようなものが今後出てくると、華やかなお家時間になりそうだ。

2.ミールキットを提供

ニューヨークの公園は現在全て封鎖されており、子供たちは遊具で遊ぶことができない。
このような状況下において、子供が家の中でも楽しめるように、日本でもお馴染みのハンバーガーショップ「シェイクシャック」はDIYハンバーガーキットを提供し始めた。

バンズ、パテ、チーズ、ソースがセットになったハンバーガーキット。
(野菜が一切付いておらず、栄養面が不安…笑)

画像4

包丁を使ったり、プロセスが複雑すぎるミールキットだと子供と一緒に作れないので、ハンバーガーのような簡単にできるミールキットサービスは、小さな子供がいる家庭で需要がありそうだ。

混ぜて焼くだけのスイーツキットセットなどがあっても楽しそうだ。

3.ギフトカードやショップグッズの販売

日本でも今お金を払っておき、コロナ収束後に使用できる「先払い」を支援するサイトも登場してきたが、アメリカではネットでギフトカードの販売も行われている。

もともとスーパーのレジ横でギフトカードを販売するなど「レストランのギフトカード文化」が浸透していたアメリカ。

画像6

プレゼントにもなるオシャレなギフトカードは、自分のためだけでなく、友人などに応援メッセージと共に送っても良さそう。

その他にもパーカーや帽子など、ファッショングッズを販売している飲食店も登場。

画像5

ピザ屋「via313」が販売しているこのパーカー。普通に可愛いから欲しいなぁ。

4.ダイレクトに寄付を募る

「Donation(寄付)」文化があるアメリカでは、ダイレクトに寄付金を募っているお店も沢山ある。お店個人で行っているところもあれば、寄付ができるクラウドファンディングサイトも登場。

2010年にサービスを開始した寄付型クラウドファンディングサイト「Go Fund Me」では、コロナウィルスを乗り込めるための募金活動が多数立ち上がっている。

画像7

「クラウドファンディング」と言っても、日本の「Makuake」のように対価として後で商品やサービスを享受できるプロジェクトではなく、災害や病気などで困っている人を助けるための完全寄付型プロジェクトが中心である。

焼き菓子が美味しいフレンチスタイルの隠れ家カフェ「Maman」(大好きでニューヨークに行った際は必ず訪れる)をはじめ、多くの飲食店がここで寄付を募っている。

困った時だけ「お金ください」と言っていても寄付する人は少ないだろう。日頃のお客様との付き合い方や、企業としての姿勢がこのような非常時に重要になってくる

頑張る飲食店を応援しようと、企業もサポートを始めている。

飲食店をサポートする企業たち

1.手数料を一時的にストップしたデリバリーサービス「GRUBHUB」

アメリカのオンラインフードデリバリーの最大手「GRUBHUB」は、コロナウィルスの影響を受けるレストランをサポートするために、最大1億ドルの手数料の徴収を遅らせると先日発表した。

画像8

15~30%の手数料は客足が鈍る飲食店にとっては大きな痛手。たとえ一時的なストップであっても、助かることは間違いない。

2.テイクアウト予約&募金サイトに変更したレストラン予約サイト「RESY」

アメリカでよく使われるレストラン予約サイト「RESY」は、コロナウィルスで苦しむレストランのニーズに応えるため、テイクアウト予約及びレストランへの寄付ができる機能を実装。

画像9

https://blog.resy.com/2020/03/how-to-help-your-favorite-restaurants-right-now/

対応スピードがとにかく早いのがアメリカのスゴイところ。

また、お金にはならなくても、食を通して世の中を元気にしよう!」という試みをする飲食店もある。

食で世の中を元気にする飲食店

1.医療関係者に無料で商品を提供する飲食店

アメリカNo.1のサラダ専門店「sweetgreen」

アメリカの国民的メキシカンファストフード店「chipotle」

日本でもお馴染みのドーナツショップ「クリスピークリームドーナツ」

など、多くの飲食店が医療関係者を応援すべく、無料で商品を提供してる。

24時間休みなく人命救助のために働いてくれている医療関係者の方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいである。

2.薬の形をしたスイーツを提供するケーキショップ

以前Twitterでも紹介した、フードプリンターを使って3Dケーキを作っている「Jonquills」

コロナ発生後から、薬の形をしたケーキを販売している。

これで病気が治るわけではないが、世界が暗くなっている時こそ、ユーモア溢れる料理から元気をもらえる。

3.SNSを活用し、おうち時間を楽しくする動画配信をするカフェ

飲食店が提供できるのは料理だけではない。

サラダボウルやスムージーなどのヘルシーフードを提供し、ヘルシーイベントを定期的に開催しているカフェ「Life Alive」では、おうちで出来るメディテーション(瞑想)の動画をインスタライブで行っている。

画像11

ハーバード大学の卒業生が作ったヴィーガンフードを提供しているカフェ「clover food lab」では、シェフが料理動画をyou tubeに投稿している。

画像10

親和性のある動画をファンに届け、退屈なおうち時間が少しでも楽しくなるよう、様々な工夫をこらしている。

この状況で私たちができることは?

つらい時、嫌なことがあった時、美味しいものを食べて救われた、という経験がある人は沢山いるだろう。
今こそ、そのお礼をする時だ。お店には行けなくても、テイクアウト商品を購入したり、先払い購入をしたり、できることは沢山ある。

そして何より、少しでも早くこの状況が収まって、飲食店が通常営業を始められるようにすること

そのためには「外出自粛」のルールを守る。こんな状況になっても不必要に外出し、集団で飲みに行っている人が沢山いることに驚いている。

幸いにも今はテクノロジーが進化している。家でだって十分楽しめる。
お気に入りのお店の料理をテイクアウトし、zoom飲み会を開けば、外で飲むよりお金もかからないし、海外に住んでいる友人とも話せるし、酔っぱらってもすぐに寝れるし、スウェットパンツも履けるし、良いことづくしだ。

このnoteを読んで、お世話になった飲食店をサポートするために自分たちがすべきことを、もう1度考えてもらえたら嬉しい。

サポートして頂いたお金は、アメリカの食トレンドをリサーチする取材費に使用させて頂きます!