見出し画像

晴耕雨読な日々。

畑に、ハマった。

始めたときは、全くそんなつもりはなかった。フルタイムで仕事をしながら幼児3人の子育て中、田舎に住んでいながら家の前に広がる畑をすっかり持て余していた。そして、昨年夏に退職した。

ふと「ちょっとやってみようかな」と思い立った。以前、畑をやってみて長続きしなかった経験もあったから、無理はせず、と自分に言い聞かせて。

とりあえず、玉ねぎを植えてみよう。手がかからなさそうで、今から準備しても間に合う。あとは、私も子どもたちも大好きで、国産のものを買いたいけど意外とスーパーに置いてないことが多い、カボチャ。それから、野菜じゃないけど、2年前くらいから好きでちょっとずつ植えている、ヒマワリ。

これくらいできたらいいや!余裕があったら、ジャガイモも植えてみてもいいかも。これもそんなに手はかからなさそうだし。

そんな心構えで、私の畑はスタートした。そして現在。畑には余裕があったら・・・のジャガイモに加え、オクラ、サツマイモ、万願寺唐辛子、スイカ、ネギ、紫蘇、サニーレタス、赤唐辛子、コリアンダー。これらが畑に、所狭しと並んでいる。

やっぱり比較的手がかからないものが多いけど。種から育てたものも、苗を植えたものもある。一番初めに植えた玉ねぎの畝の場所から、少しずつ鍬で耕し、畑の面積が徐々に拡張されていった。

これまで畑に手を出したときと違い、毎日、畑に出るようになった。とにかく楽しい。雑草だらけだった荒れ地が、そこに命が吹き込まれて蘇るのが。日々育っていく、野菜たちを眺めるのが。そして、土を耕すのも、草を抜くのも、無心になれる貴重な時間。自分のストレス発散になっている。

畑は、おてんとさまと相談しながら、スケジュールが決まる。毎日、天気予報をこまめにチェックするようになった。明日は雨だから、今日中にこの作業をやっておこう。収穫は来週のこのタイミングだな。昼から天気が怪しいから、午前中に畑に出て、午後は家のことをしたり読みかけの本を読むことにしよう、という具合に。

まさに、「晴耕雨読」だ。週に数日出ているアルバイト先も農園だから、よけいにそんな生活になっている。晴耕雨読の「読」のところは、ゆっくり読書とはいかないことも多いけど。バタバタと雑事を済ませたり、人と会うことになれば「晴耕雨トーク」となったり、こんな風にnoteを書くと「晴耕雨書」となったり。

どちらにせよ、晴れたら外仕事、雨だと室内のこと、という生活は、どこか自然で気持ちが良くて、健康的と言ったらよいのだろうか。体が、本来のリズムに戻っている感じがする。人間も、自然の一部なんだと、再確認。

そして、自然が相手だと、何か起こったりうまくいかなかったりしても、すっと受け入れられることに気が付いた。なかなか芽が出ないけど・・・仕方ない、気温が上がらなかったんだし。そうか虫にやられたか・・・そんなこともあるよね、って。

そうすると、自分の心も、何か自然に戻るような、素直でまっさらな状態に近づいている気がする。土に向かって作業に没頭しつつ、ふといろんなことに思いを巡らせる。

今、事情があって、いろいろと宙ぶらりんな状況。住む家も変わるかもしれないし、思い描いていた起業計画も日の目を見ないかも。どうしようかなあ。

でも、こうして無心で畑と向き合う暮らしは、幸せだな。農業やるのもいいかも?意外と自分に合ってそうだ。本業としてやるとなると、厳しい部分はたくさんあるだろうけどなあ。

もしかしたら、ゼロからいろいろやり直すことになるかもしれない。でも、自然の環境と同じように、自分自身もそのときの流れに自然であれば、それでよいのだという気もする。どうにかなる。自然は偉大だ。

じゃあ、自分が本当にやりたいことって何だろう?今、私が好きなことと言えば・・・畑とキャンプ。うん?これさえできていれば、そして家族がそれぞれやりたいことができていれば、それで十分幸せではないか。そう思うと、ハードルはそんなに高くない気がする。そんなに、恐れることはない。

大きな変化があったとしても、核となる部分はきっと変わらない。自分は、自分。とてもシンプル。

今は、きっと人生の充電期間。稼ぐことも、将来の見通しを立てることも、できていないけれど。記憶がなくなるほどに走ってきた時間を取り戻すかのように、今は自分の好きなこと、子どもたちとの時間を思いっきり楽しんでいる。

でも、やっぱり、前に進もう。大丈夫、なんとかなる。おてんとさまも、見ててくれる。

体も心も、自然に帰るような、畑を中心とした今の暮らし。その時間を過ごすことで、自分の本当にやりたいこと、望んでいることが、少しずつだけど見えてくるような気がする。

ちょっと立ち止まっている自分に、最適な過ごし方みたいだ。しばらくはこのまま、おてんとさまに合わせて、暮らしてみよう。

どこかにきっと、次へと向かう道が、照らされてくると信じて。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?