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赤穂緞通を復習する(流れで...トークイベントしておいた♪)

以前も書き残しておいたんだけれど、僕が赤穂緞通(あこうだんつう)と呼ばれる存在を知ったのは2007年、その翌年に京都・文椿ビルヂングで開催される展示会「幻の『赤穂緞通』展」の準備のために兵庫県赤穂御崎の工房訪問まで遡る。

以来、赤穂御崎の工房ひぐらし橋羽さん)、赤穂坂越のつづれや田川さん)など、赤穂緞通に関わる仕事を陰ながらサポートさせていただいていた。そして、流れで... 2019年、赤穂ギャベ というプロダクトに関わることになる。赤穂ギャベの背景には「赤穂緞通」が色濃くあると考えていて、その文脈無くして話もできない。


赤穂緞通とは(備忘録として)

誤解は適時修正します♪

日本三大緞通
赤穂緞通は、鍋島緞通(佐賀県)、堺緞通(大阪府)と並び日本三代緞通と称される。畳一畳サイズが主。京都に縁が多く、屏風祭、事始め(年末、舞妓さんのご挨拶)。鍋島は当時献上品としての織られることが多く、生産数は少ないが、緞通=鍋島というように産地を超えて上物の緞通を示す言葉で使われることが多かったとされる。明治、大正時代に作られて民間に流通していたのは赤穂緞通、昭和に入ってからのものは鍋島緞通が多いと言われる。京都で現存する緞通(古作・アンティーク)の多くは製造工程から判断しても赤穂緞通であるとされる。

児島なか
高松を訪れた際に出会った中国の万暦氈(ばんれきせん)に触発され、江戸末期に考案。26年もの歳月をかけて明治7年(1874)に赤穂緞通を完成。

赤穂緞通の素材
主な素材は綿(稀に絹)。万暦氈や中東などで織られるものの多くはウール。日本で開発された赤穂緞通は当時の環境(瀬戸内)で手に入った素材「綿」を使わる。道具のひとつである腰折れ鋏は播州エリアである小野や三木が刃物の産地であったことも関係している。染糸は化学染料が入る前は、藍や草木染(やまもも、やしゃぶし)などの天然染料が使われており、草木染めの工程で焦茶など濃色を出すための鉄媒染では糸に負荷を加えることから劣化もあるが、藍染にて強くなった糸はその美しさを残していることが多い(100年経ったものは特にね♪)

赤穂緞通の織り方
水平機を用いて織る。経糸(たていと)、緯糸(ぬきいと・よこいと)には糊付けを行う。糊は米粉と餅粉を7:3で混ぜたものに水を加えて鍋で炊く。カビを防ぐため途中で酢を少し加える。経糸はこの糊を糸に揉み込んで乾燥させてから機に張り、緯糸は糊を揉み込んで濡れた状態で織っていく。経糸と緯糸に色糸を挟んでダブルノット(ペルシャ結び)にて結び固定(挟せる)していく。文様を際立たせるため独自に進化したカービング技法(筋摘み、地摘み、仕上げ摘み)を腰折れ鋏を用いて仕上げていく。(ガラパゴス的技法だわ!)

赤穂緞通の図案(文様)
ハレの場で使用されることが多かったのだろう、有職文様、吉祥文様などを用いられることが多いが、オーダーとして依頼主の影響も色濃く、特に赤穂緞通は摘み工程を行うからであろうか、非常に多くの図案が作られている。最近、個人的に興味深いのは「藍地花文(あいじかもん)」と名付けられた緞通。

古緞通(古作・アンティーク)
昭和初期にかけては遠く海外にも販路を広げ、全盛期を迎えていた。そのため、今からおよそ100年前の赤穂緞通が比較的多く現存しており、アンティークとして市場で扱われることもある。名家や料亭などの蔵などに大事に保管されているものもあるが、保管されている環境などで傷んでいるものも多く、洗いやしみ抜きなどの手入れを施した上品も増えてきている。お手入れでは赤穂緞通の制作時に用いる敷伸し工程を用いることもある。

伊和都比売神社(いわつひめじんじゃ)
兵庫県赤穂市御崎にある神社。海に向かって鎮座されている海運の神様。航海安全や縁結び。

大避神社(おおさけじんじゃ)
兵庫県赤穂市坂越にある神社。京都太秦にある大酒神社・広隆寺との縁もあって、聖徳太子の庇護も受け、日本の文化・産業(織物含め)に大きな影響を残した秦氏の子孫である秦河勝(はたのかわかつ)を祀っている。

<参考>
赤穂市教育委員会 市指定文化財 赤穂緞通技法
赤穂緞通について 幻の赤穂緞通 工房ひぐらし
Google Cultural Institute(赤穂緞通)


風を待つ月、わたしの場所で夏を迎える

赤穂ギャベの仲間でもあり、赤穂緞通の担い手の一人、阪上梨恵さん(工房 六月)が開催されているオンライン展示会に合わせて、緞通の魅力だけでなく、瀬戸内に面した工房、赤穂の風土などをDabel(ダベル)というアプリを使ってお聞きした。

オンライン展示会 工房六月

20点ほどの古緞通に加えて赤穂ギャベも紹介してもらっている。

Dabelのアーカイブ

ホスト:佐原(俺♪)、ゲスト:阪上梨恵(工房 六月)


#赤穂緞通 #展示会 #トークイベント

僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。