シャニマス 「アンコンシャス35→80」の話

基本的にシャニマスの動きに追いつけていないので、昔獲得したカードをひとつずつWINGで優勝させてストーリーを楽しむ、というのんびりとした遊び方をしている。
早くSTEPとかやらないと永遠に世の中のプロデューサーに追いつけない…と思いながら、もう誰もいない井戸の中でひっそりと日々これを書いている。

標題のカードのストーリーを見ましたという話。
これすごく良かったな〜。

35→80って、最初なんの数字か分からなくて調べちゃったけど、カメラの焦点距離のことなんですね。
要は無意識にカメラがズームアップされてしまう、という、カードの絵柄そのもののタイトルではあるけど、ストーリーには他の要素もありつつ、「ズーム」というテーマがかなり綺麗にまとまっている。

ひとつめの「冷えらる気」、「ヒエラルキー」とかけているのは冬優子さんのご機嫌取りを必死になってするプロデューサー、という図式が、冬優子さんに精神的優位性があるからと捉えていいのかな。

バカにするわけじゃないけど、首を寝違える冬優子さん、正直かなり面白い。あと、分かる。
体に不調があると思うように動かせないからかなりイライラするよなあ。そんな調子でタイトルの通り、冬優子さんの態度は冷え切っている。
冬優子さんも本調子じゃないし、そのご機嫌を取ろうと躍起になるプロデューサーの言動も全てから回っている。
こういう、どうしたってうまくいかない日は往々にしてあって、そういう日の絶妙なプロデューサーとアイドルとの距離が感じられる話でした。

次、「メタ///コンポジション」。
これはカードのイラストが出てくるストーリー。
写真の構図にこだわる冬優子さんと、それにうまく応えられないプロデューサー、と、一見また心の距離が遠いように見えるが、何度もカメラの調整をするプロデューサーを見守る冬優子さんの精神的温度は、ひとつめのストーリーより少し高い。

不意打ちのズームアップで撮られた写真は偶然の産物で、意図的にカメラを構えていただけでは絶対に撮れないような、そういう意味で人間の行為を超越した写真がうまれる。タイトルの「メタ」の部分はそう解釈しました。
そして、これが物理的なズームアップ。
偶然とはいえそうして、「これはこれで…」みたいな写真が撮れる、という結果を生むのがひとつめのストーリーとの違い。
けれどこれはこれで良いか、と感じているのはまだプロデューサーだけで、冬優子さんはあまり納得していない様子。
これがひとつめのストーリーからの、精神的なズームアップ。

最後、「温室」。
冷温の対比が分かりやすくて助かるね。
プロデューサーが埃をかぶったストーブを点すという話なので、部屋の温度は物理的に上がっているわけだけど、当然それだけじゃない。
「灯油臭い」と文句を垂れながらも、ひとつめのストーリーでは空回っていた、ふたつめのストーリーではいまいち納得いかなかったプロデューサーの行動に、ようやく冬優子さんも「悪くない」という感想を抱く。
これが最後の距離感のズームアップと、それによる精神的な温度の上昇。

プロデューサーとアイドルの間で劇的に何か、関係性などが変わるわけじゃないけど、日によって違う距離感の描写が分かりやすく、かつ丁寧で、かなり好きなストーリーだった。

あと個人的に好きなのがこのシーン。

「メタ///コンポジション」の中での会話 

何気ない、いつものやりとりと言ってしまえばそうなんだけど、ここで冬優子さんはわざと「ふゆ」を演じて見せることで、プロデューサーに無言の圧をかけている。
「ふゆ」として表に出してファンに見てもらうため、完璧な構図で、完璧な「ふゆ」を撮らないといけないんだぞ、という圧。

だけどプロデューサーはその冬優子さんに対して、それが「ふゆ」としての身振りであることは特に意に介さないような調子で「もちろんだ」と返している。
プロデューサーにとってはそれが「冬優子」に言われたものでも「ふゆ」に言われたものでも大して変わりはない。担当アイドルに「可愛く撮って」と言われたらそれを全力で叶えるだけだから。

だからこそ、不意に撮れた「冬優子」の顔をした写真にプロデューサーは「これはこれで良い」と思えるし、完璧な「ふゆ」を撮れ、という意図を持っていた冬優子さんはそれを許すはずもない。

冬優子さんの意図した「自然な不自然」をプロデューサーの認識が超越しているという意味で「メタ」でもあり、その「メタ」は決して冬優子さんの精神に最大までズームアップすることとイコールではない、という点で、冬優子さんの人間像とプロデューサーとの関係性がよく表れていて、かなり良いな〜と思った。

あとこのカードの冬優子さんの服、通常衣装もフェス衣装もめちゃめちゃかわいい。
dependollのモデルをしてくれ〜〜〜……

おわり

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