見出し画像

行動は制限されようとも、思考は自由である。

この有事の最中で、何をわたしは書けばいいのか、結構悩んでいた。そのことを頭に浮かべながら過ごしている中で、「心地よい時間」「幸せな気分」というものを、わたしは手離したくないし、皆さまにとっても大切な営みなのではないか、というところに辿り着きました。早い方で5分、長くでも20分くらいかもしれないけれど、「幸せな気分」を生む、2つのワークをご紹介したいと思います。

1つ目は、平時からやっている「幸せワーク」
2つ目は、未来を描くための「コロナ明けワーク」

そして最後に、人のもつ困難を乗り越えるスタイルの多様性にフォーカスした、「BASIC-Ph」多次元モデル(Lahad & Cohen, 1983)について触れたいと思います。

**
●幸せを呼び起こす「幸せワーク」**

やり方は、簡単です。

ステップ1:「あなたが、もっとも幸せで、心地よく、楽しいと思う、こと・もの・ひとは、何でしょうか。どんなシーンですか。」
もしも、いくつか浮かぶ場合は、すべて書き出し、「もっとも」なものに、二重マルを付けてみてください。
このワークを信頼できる人と一緒にやったならば、それぞれの「幸せの素リスト」を見せ合ってみましょう。「へ〜、そうだったの!」ということがあるかもしれません。

ステップ2:「二重マルを付けた、もっとも幸せな気分となるシーンをあなたは、最近、いつ体験しましたか。その体験をするための時間を持てていますか。」
結構できているならば、とっても素敵なことですね。
もしも、あまりできていないならば、できるように生活調整をするといいかもしれません。ただ、どうしても捻出できない場合も、大丈夫です。
「イメトレ」という言葉あるように、そのシーンや体験を想像するだけでも、人は「幸せ気分」を享受することができます。
いっぱい想像しましょう、それに浸って、微笑んでいる自分を。

何となく、ウキウキして来ますか?

ステップ3:「「幸せの素リスト」を、以下の表に従って、4つのマスのどこかに割り振ってみましょう。その結果に満足ですか。」

こちらは、バランスが良いこと、を目指してはいません。でき上がった表がいまのあなたの特徴であるだけで、そのままでも、変えてみても、いいのです。

確かに、4マスとも満たせる場合は、いろんな状況に対応できると言えます。とくに、「左下」が多い方は、この「外出自粛」に向くタイプと言えます。他方、「右上」の多い方は、「外出自粛」は打撃となるかもしれない。ですので、自宅での「擬似体験」に模索したり、「1時間の散歩」をしたり、「オンライン」で人と繋がったり、自分の欲求を満たす対策を講じることのは大切でしょう。

**
●未来を描くための「コロナ明けワーク」**

こちらも、やり方は、簡単です。

ステップ1:「(ご自身の「幸せの素」を加味しつつ)コロナ明けの世界で、まず、何をしたいですか。また、新たに挑戦したいことはありますか。」
好きだった日常のルーチンから、生きている間に早くしておきたいことでもいいかもしれません。「これはしたい!」ということを書き出してみてください。それらを実現させている自分は、どんな気持ちでしょうか。

ご自身の「やりたいことリスト」が出来上がったら、次のステップに進みます。

ステップ2:「「やりたいことリスト」を「すぐできるもの」「中長期的にやりたいもの」に分けてみましょう。」
「すぐできるもの」の方は、メモを取っておいて、コロナ明けで、存分にやってください。その日が待ち遠しいですね。楽しみにしておきましょう。

何となく、ワクワクして来ますか?

続いて、「中長期的にやりたいもの」は、その順位を付けてみましょう。「中長期的にやりたいもの」は、トップ3に着目します。
また、それらが選ばれた背景は何でしょうか。なぜそれなのでしょう。

ステップ3:「実行の可能性も含めると、そのトップ3はいかがでしょうか。実現を妨げているものがあるとしたら、それを取り除く方法はありますか。」
ここで、トップ3を変えたければ、変えてください。
変えなくても結構です。
実現可能性が著しく低いと思われた場合も、その選択を捨て去らずに、取っておきましょう。そして、実現可能性がある・高いと思えたものは、ぜひぜひコロナ明けに、取り組んでみましょう。
「なりたい自分」を描くこと。それは自分への期待、明日への希望です。

ワークは以上となります。
この2つのワーク、共通点があるのですが、何だと思われますか?

●答えは、「想像力」と「自己欲求」です。
この点が、本日のタイトルにつながります。
現在、わたしたちは、いつもの生活や行動が制限されているわけですが、「思考」は、いつ、どこに、いようとも「自由」です。人には、想像力や空想力、妄想力があります。いまこそ、その能力を発動されるとき、とわたしは思っています。

そして、上手に「自分の欲求をコントロールする。自分で自分の欲求を叶え、自分で自分のご機嫌を作ること。」を意図しています。

日本人は、我慢・耐え忍ぶ・それは義務、、としがちで、しかもそれを「徹底」してしまいがちです。しかし、「やってみよう」「こうしたい、あーしたい」「我慢だけはいや!」「楽しさを見出したい!」そんな気持ちや実現は、人の営みの上で、当たり前に大切なことです。
いつ訪れるかわからない収束まで、我慢し続けるのではなく、「途中にあって」工夫すること、楽しむことは、欠かせないこと。わたしはそう思っています。それが、人間の知恵だと思うからです。

●人は、多様な状況に、多様なスキルで、適応できる。
ワークでも着目した「想像力、空想力」をも含め、わたしたちのストレス対処スタイルは多様です。

その対処スタイルは6つのチャネル(Belief, Affect, Social, Imagination, Cognition, Physical)から成り立つとし、それぞれの頭文字を取って「BASIC-Ph」多次元モデルと呼ばれている概念が1980年代に台頭しています。

以下のような6つのチャネルを、具体例とともに示しますね。


人は誰でもこれら6つのチャネルの全てを備えており、ストレスに対処できる可能性を持っていると考えられています。さまざまな状況下で、それぞれ好みのチャネルを使ったり、組み合わせて使ったり。そうすることで、多様な状況に、多様なスキルを適用して、適応することができるのです。

こちらを提唱し、実践されているイスラエルの心理学者Mooli Lahad先生が来日されたとき、WSに参加してみましたが、とても面白いワーク満載でした。自分のよく取っている対処行動を「どのチャネルかな?」と「BASIC-Ph」で仕分けてみるといいのですが、やや練習がいるな、という感想も持っています。

日々の彩りや豊かさを求めながら、生活していきたいものです。

今夜、そして来週も、あなたに笑顔がありますように。
行動は制限されようとも、思考は自由である。


この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?