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『AIRCROPS』デザイナーズノート#03 [ゲームデザイン編 ②]

『AIRCROPS』デザイナーズノート[ゲームデザイン編 ②]は、大好きなエンジンビルドについて。中〜重量級では、ここがプレイのモチベーションになってくるので大切ですよね。
今回の記事はデザイナーズノートというよりも、まとまるまでの紆余曲折と反省をダラダラ書いていく感じになりそうです…。

開発要件:プレイヤーボードなしで

ゲームの土台が決まった後(前記事参照)は、エンジンビルドの仕組みを考えはじめました。

エンジンビルドといえば、プレイヤーボードのトラックを進めて毎ラウンドの収入を増やしたり、メインアクションを強くするボーナスを得たり、効果付きカードを手元にたくさん並べて追加のフリーアクションを実行したり…想像するだけでワクワクしてきますね!

今まで作ってきたボードゲームはプレイヤーボードの採用率が高いので、開発当初は「心機一転!プレイヤーボード無しで作ってみよう!」というテーマを設けていました。で、プレイヤーボードが無いなら、効果付きカード中心でエンジンビルドをしていこう!という方針でゲームデザインを進めていたのです。

そんな理由で、今作はカードの効果がいつもより少し複雑になっています。
ただ、この方針が紆余曲折につながる要因だったのです…。

珍しくテキスト効果

僕のゲームではテキスト効果はあまり採用していません。
カードやタイルの効果はあったとしても、基本資源を得たり、資源をVPに変換するようなシンプルなものがほとんどなので全てアイコン化していました。

理由としては、カードやタイルに言語依存がないゲームなら、説明書だけ英語版を用意すれば、コンポーネントをそのまま使えて都合が良いのです。まー、たまに日本語入ってることもありますが、プレイに影響はない範囲なのでOKとしましょう!

ただ今作は「テキストが必要な複雑な効果のあるカードを組み込もう!」と始めたこともあり、テキスト効果っぽいものにもチャレンジしております(結果的には、アイコンにできたんじゃね?みたいな効果に落ち着いた気もします…)。

珍しくテキスト効果!よく見ると、ふつうにアイコン化できそう!

装備カードと技術カードで紆余曲折

最終的には「技術カード」のみとなりましたが、開発当初は「装備カード」と「技術カード」の2種類のカードがありました。

装備カードは、農業航空機カードの横に挿し込んでいき移動数や、メインアクションの実行回数を強化するカード。技術カードは、メインアクションに連動して、追加効果を得たり、お金をもらえるカードでした。

装備カードは挿し込むことでメインアクション強化!

で、テストプレイしてみたら、メインアクションの回数を強化する「装備カード」の効果は良いのですが、同じ畑にしか適用できないので16枚の畑タイルを有効活用できず…。一部で派手な展開はするのですが、ちょっと盤面的の展開的にイマイチ。

メインアクションと連動する「技術カード」もコンボが全然回らない!
全8-12ラウンドで、それぞれのメインアクションを平均して実行するとだいたい2-4回 = メインアクションに連動する効果はゲーム中に2-4回しか発動しない。強い効果ならアリだが、弱めの効果で何回も発動できた方が満足度が高い…。(そういえば、手札から捨てれば即時で1回だけ使えるという仕組みもありました。)

当初は「肥料(育てる)」アクション時にしか発動しなかったミサイルスプリンクラー

野菜カードもなにやら複雑そう

初期の頃は、収穫後に獲得した野菜トークンはコインに変えるか、もう1回メインアクションを打つか選べる仕組みだったのです。

当初は野菜チップに2-3個の野菜が描かれていたので、売却時の個数で価格が変わる仕組みでした

で、「技術カード」のコンボが全然回らないので、メインアクションと連動して発動する効果をここでも発動できるようにしたら、今度はコンボが連発しすぎて、ゲームのプレイ時間よりも処理や計算のほうが多くなる、というダメダメな結果に…。

カード効果、まじで難しい!

結果的に「装備カード」はバッサリなくし、野菜トークンでメインアクションが打てる仕組みもなくして、「技術カード」の使用回数が増える方向でカード効果を調整しました。結局シンプルなのが一番ですね…。

そう考えると、アナログランチボックス二作目の『CABARET CONFIENTIAL』はキャストカード32枚がオールユニークなテキスト効果となっており、自分が作った中ではかなり珍しい作品だったのだなぁと。

『CABARET CONFIENTIAL』 *中央がキャストカード

ちなみにカードテキストが一番多い作品はアナログランチボックス一作目の『菓子、語りき。』です。40種の架空の和菓子を考えて、それぞれのカードの裏面に作り方がフレーバーとして書かれています。

『菓子、語りき。』

今考えると狂気でしかないな、と我ながら思います。

しまった!話が逸れまくってしまった。

結局は当初に掲げた「開発要件:プレイヤーボードなしで」という方針も無視して開発を再開。カードがシンプルになった分、プレイヤーボード側でもエンジビルドの調整をかけていくことになりました。
無理やり軌道修正したので、ここも紆余曲折あったのですが、長くなりそうなので割愛。

ゲームデザインするときに、変な方針は掲げないほーが良いですね…反省。

ということで、『AIRCROPS』のデザイナーズノートの3回目はゲームデザイン編②ということでエンジンビルドのお話でした。次回はゲムマ24春の後になると思うので少しお時間が開きますが、アートワーク編に入っていきたいと思います!

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次回の[アートワーク編①]もお楽しみに!

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