結局、美味しいものは。
以前、上司がこんなことを言っていた。
「結局、この世で美味しいものは、寿司、カレー、うなぎの3つだろう。」
非常なグルメであるうえに、大変な読書家で、そのうえ芸術的素養まである上司の言うことだったので、その時は「なるほど、そういうものなのかなぁ」となんとなく納得してしまった。
しかし、それ以後、美味しいものを食べるたびにこの命題が頭に浮かんでくるようになった。
果たして、本当に美味しいものを突き詰めていくと、寿司、カレー、うなぎに行き着くのだろうか?
もちろん、わたしもこの3つは大好きだ。
職人の丁寧な仕事が施されたお寿司は芸術品だと思うし(ちなみに、寿司桶ってなんとも言えない風情があるよな。最近あまり出前を取らないので見る機会が減ったけど)、カレーなんていつどこで食べたって美味しいし(中でも一押しは、秋口のキャンプで、澄んだ夜空の下で食べる熱々の手作りカレーだ)、長い時間待った末にお重を開けて、タレを纏ったうなぎに対面するのなんて感動的ですらある(ただ、うなぎに関しては嫌いという人も結構見かける)。
でもでも、ほんとにこれがベスト3なのか?
今や国民食となったラーメンは?ご褒美飯の代名詞、焼肉は?
カツ丼だって、ステーキだって、ハンバーグだって、唐揚げだって、焼き鳥だってある。餃子に炒飯、焼きそばにオムライス、しゃぶしゃぶに讃岐うどん、美味しいものは枚挙にいとまがない。
スイーツも、ショートケーキ、チーズケーキ、チョコレートケーキ、どら焼き、アンパン、メロンパン、みたらし団子にアイスクリームなどなど、群雄割拠だ。
待て待て、シチュエーションに拘れば、旅館で朝湯の後に食べる朝ごはん、夏の夜中に喉が乾いて目覚めた時に冷蔵庫から取り出す冷えた麦茶なんてのもこたえられない。(あまり味わいたくないが、刑務所で食べる甘味ってのも、話に聞く限り相当美味しそうだ)
そもそも飲み物まで対象にするならば、キンキンに冷えた生ビールや、シングルモルトのウイスキーこそ至高っていう人もいるだろう。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
でも、面白いので、ついつい考えてしまう。
これからも、結局この世で美味しいものは?を考えながら、沢山の美味しいものと出会って行きたいものだ。
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