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【小説】珀色の夢 7




 夢であるというのに、現実世界とほとんど変わらない。
 臨海公園から歩ける所まで歩いても、漫画やアニメのような異次元空間の穴も、世界が途切れているような最果ても見当たらなかった。
 イズミは夢の中をうろつく紗絵を放っておいてはいるが、用がある時は迷う事なく彼女の前に現れる。居場所は彼に筒抜けのようだった。
 どうせ出られやしないという自信が、彼の瞳をきらきらと輝かせている。
 その光の強さに、紗絵は半ば諦めていた。
 イズミが人間でいうところの霊能力者なら、何の力も持たない紗絵がどうこう出来る相手ではない。勝ち目などありはしなかった。
 歩くのに疲れて、紗絵は交差点の真ん中に大の字になって寝転ぶ。
 この世界には何故か、車が無かった。
 街は細かく作られているのに道路を往来する車が無いので、建物の間ががらんとして文字通りの間抜けになっている。
 時折、車が無いのを良い事に道のど真ん中を悠々と歩く人もいた。人が多いと歩行者天国の様相で、それはそれで面白い。
 ただ、この人達もイズミに食べられた人達なのかと思うと、感傷が心の奥から底を浸すように溢れ出てきた。
 このままじゃ、私もあの人達みたいになっちゃう。
 心はそう急いても、ここを出る為の方法がわからない。
 青空を見上げている目にもやが掛かり出した頃、その視界を遮るものがあった。

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