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詩・物語

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詩や、とても短い物語など。 ヘッダー画像:https://pixabay.com/
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#物語

【物語】
「芸術……、は言い過ぎだな。記録とは、一瞬を永遠のものにしようとした者達が生み出した技術だ。画家の目の前に落ちた夕日は、キャンバスの中に光り続けている。カメラマンの目の前にいた二人は、印画紙の中に生き続けている。記せ。残せ。お前の望む永遠は、何だ」

【詩】
碧に終わりを見る者と、
蒼に解放を求める者。
青に足を付けて二人は、
仰ぐように互いを見ていた。

【詩】
「好きにしたら良いよ。君にとって、ここは君の世界なんだから」
「ただ、私にとっては、ここは私の世界だから、私は私の好きにするよ」

【詩】
鮮やかな緑の天井の下、君を探して辺りを見回す。
木々の中に確かにいるはずなのに、縦横に駆け回る君の小さな姿を見つけるのは、ここから一本の針を見つけるようなものだった。
それでも一目、姿を見たくて。優しい栗毛の君を探し続ける。

【詩】
君の頭上で白く輝く月が、君の体を夜の中から浮かび上がらせている。
街路樹の色もはっきりとしない夜道では、少し遠い所からこちらに振り返った君の表情はわからなった。

【詩】
写真の向こうの彼女が手招きをする。
あなたがいる方に行きたくて手を伸ばすけど、向こう側には届かない。
彼女はくるりと私に背を向け、庭の奥へと駆けて行く。
待って。あなたの駆ける方に、何があるの?

【詩】
どうしたの? なんて聞かれても困る。
君を前にして、緊張で顔が真っ赤になって目も合わせられないなんて、君に言えるわけないじゃない。

【物語】
気を失わなかったのが不思議なくらいだ。息も出来ないほどの痛みの中で、どうにか彼女に笑ってみせる。
「良いもの食べたからね。なかなかイケる味だと思うよ…?」
軽口を叩いている場合ではないかもしれないけど、こうでもしないと彼女は後で、私を『食べた』自分を責めてしまうから。

【詩】
灰色の空を仰いで、風を受ける。
高く結い上げた髪は肩の後ろで、
コートの裾は膝上の高さで、揺れる。
ビル群が低くひしめくのは、この場所が高いから。
胸が痛むのは、視線の先にいる誰かを思うから。