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私のさがみこベリーガーデン~未知の世界への挑戦~

山川陽一 当年とって84歳。㈱さがみこファーム取締役 (管理・営農担当)

今回は「さがみこベリーガーデン」にかける私個人の想いについてお話しさせていただきたいと思います。 

株式会社さがみこファーム(山川勇一郎社長)は、令和元年5月、日本国の新元号発足と機を同じくして設立されました。会社設立以来、相模原市緑区青野原で太陽光発電と農業を組み合わせたソーラーシェアリングによるブルーベリー農園事業を立ち上げる準備を進めてきましたが、丸3年を過ぎた本年6月『さがみこベリーガーデン』としてプレオープンしました。今年は2年で分けて植えたブルーベリー(1100本)のうち、約半数(550本)が摘み取り可能になるまでに育ったため、プレ会員の方限定のトライアルという形で、農園の半分を開放することにしました。

来年度は全数(1,100本)が収穫可能になるため、農場全体を開放したグランドオープンを予定しています。それに伴い会員制度も一新して、会員数も1,500人規模にまで増やす計画です。(現在のプレ会員数は430人) 

私たちは単に農地を借りて農業を始めたわけではなく、農地の上で発電事業を行い、下部で農業を営む「ソーラーシェアリング」という方式でブルーベリーを養液ポット栽培し、生産農園+会員制の摘み取り体験農園という形で運営することにチャレンジしています。すべてが新しいことばかりで苦難の連続でしたが、何とか今年プレオープンまでこぎつけ、ひと夏を終えることができてホッとしております。

山登りに例えると、いまは、踏み跡もない藪をこぎ険しい岩壁をよじ登ってめざす前衛の小ピークに立った時の安堵感と、そこから見た景観の素晴らしさに浸っている、といったところでしょうか。次々に現れる難関を乗り越えて感じる喜びは何物にも代え難いものがあります。
まずは一息ついて、行く手にそびえる更なる高みを目指して “さあ行くぞ!”と身構えているクライマーの心境です。

私は中学時代から山登りをはじめ、高校、大学と山岳部に属し、社会人になってからも会社の山岳部や日本山岳会に籍を置いて山登りを続けてきました。私自身はヒマラヤの8,000メートル峰や未踏の岩壁に挑む先鋭的なクライマーではありませんでしたが、今でも未知の世界に対する憧れとチャレンジ精神は人一倍強く持ち続けています。

会社時代は、入社時からリタイヤするまで、常に前例がない新しい仕組みや新しいシステムの構築に携わる毎日でした。長年勤めてきた会社をリタイヤしてからは、森林ボランティア活動、山岳自然保護活動、地域のゴミ問題への取組み、再生可能エネルギ―事業への取組み等々、色々なことに中心的に関わってきましたが、振り返ってみるとすべてが未知の世界への挑戦でした。 

そのどれもがうまくいったわけではなく、道半ばにして諦めなければならないことも多々ありました。その要因を考えてみると、明らかに自分自身の力不足というものもありましたが、「自分たちのちからでは如何ともしがたい外的要因で挫折したのが大半だった」・・・と当時は思っていました。
ただ、時間が経った今、改めて思い返してみると、「あの時、もうひと押ししていれば」「もう少し長い目でみる気持ちで対応していれば」「相手の側に立って考えてみれば」 結果も違っていたのではないか、と思えるものが相当数あることに気がつきました。
亀の甲より年の功と言いますが、これは長い時間かけて悪戦苦闘しながら色々な経験を積んできた人間だからこそ得られた大きな財産だと思っています。

さがみこベリーガーデンの構築に携わっている仲間たちはみんな異なる得意分野を持っており、それぞれがしっかり噛み合って時を刻んでいます。そんな中で私も今なお「時計の裏の一枚の歯車として機能している」という実感が得られていることは幸せなことです。

冒頭に述べたように、私も今や84歳、この先どれだけこの仕事に携われるかわかりませんが、だからこそ自分の持てるもののすべてをこの仕事に出し尽くしたい、しっかり若い人の陰の力になって支えてあげたい、そんな気持ちで毎日を過ごしています。

来年は何としてもこの事業を軌道に乗せ、みんなで祝杯をあげたいですね。
 
                    (2022年9月24日 山川陽一)

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