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 「ぼうさいこくたい」をご存じでしょうか。正式には「防災推進国民大会」というそうですが、国体の防災版と言えばいいのでしょうか、防災に関する活動を行っている団体・機関が一堂に会し、取り組みや活動を共有するイベントです。2016年に初めて開催され、関東大震災の100年目にあたる今年は横浜で開催されました。実は、たまたまニュースでこのような催しが行われることを知り、ふらっと立ち寄ってみたところ、思ったより大規模なイベントで、体験型ワークショップやブースでのプレゼンテーション、屋外展示や講義型のトークセッションなど老若男女多くの人でにぎわっていました。

 色々面白い展示やセッションがあったのですが、全国の災害を伝承する活動を行っている団体のブースで、「これは津久井高校の生徒さんたちが作った冊子ですよ」と紹介されたので、思わず手に取ってみました。それは津久井高校の漫画部が製作し、「自然災害伝承碑 地震峠を守る会」が発行している「百年の時を超えて繋がる命」という漫画冊子でした。関東大震災では横浜や東京の被害がクローズアップされますが、津久井でもあちこちで土砂崩れが発生し、特にさがみこベリーガデン(SBG)からもほど近い鳥屋地区では土砂崩れで山ができ、地震峠と名付けられたそうです。

 先日その地震峠を訪れてみました。
 SBGから直線距離で2kmほど、山を越えた向こう側にあたります。近くに行くと、県道が切通しになっており、峠と名付けられたのもうなずけます。県道沿いには説明板が立てられており、「ここ馬石では死者16名、埋没戸数9戸で、死体が確認されたのは8人のみ、ある家では6人家族全員が埋没死したのである。当時の串川は現在の県道よりもずっと南側を流れていたが、土砂災害のために串川がせき止められ、上流五百メートル位まで湖のようになってしまったという。」と書かれています。そして階段を上ると慰霊碑と地蔵尊が祭られています。

 また、「自然災害伝承碑 地震峠を守る会」では、災害の恐ろしさを伝えるため、地元のシングソングライターの芳晴さんに依頼し「地震峠と十六の瞳」という曲が今年8月に完成、お披露目をしたそうです。「百年の時を超えて繋がる命」と「地震峠と十六の瞳」はこちらからご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=59hp-LRXop0&t=181s

 わたしたちSBGの立地するこの地域も山に囲まれ、その中を唯一のアクセスである国道413号線が走っています。ひとたび土砂崩れが起きると陸の孤島となる可能性があります。記憶に新しい所では、2019年の台風19号ではこの地のあちこちで土砂崩れが起きました。もし今地震が起きたらどうなるだろう?想像してみました。

 202〇年10月7日午前11時58分、午前中の農作業もひと段落したその時、突然大地を突き上げる振動が襲う。轟音と共に土煙。ようやく落ち着き、どうやらみんな無事のようだ。しかし停電が発生、国道は通行不能、何日かここで過ごさなければならないようだ。幸いここには太陽光発電がある。スマホも使えるし、バッテリーに充電すれば夜の明かりも大丈夫。水は、井戸がある。ポンプでくみ上げる必要があるが、太陽光発電で賄える。あとは食べ物。ブルーベリーは終わってしまった。手元にはヒマワリの種くらいしかないぞ。でもご近所は畑。ここには電気と水があり、地域の方に使っていただける。それぞれ足りないところを融通しあえば、生きて行けそうだ。さらに周りには食べられる野草や木の実もあるし、いざとなればシカやイノシシを捕まえれば何とかなるぞ。

 こうやって考えてみると、水も食べ物もエネルギーも、私たちは周りの自然からどれだけ恵みを受けているのか、そして災害に備え、普段から地域の方々と連繋していく大切さを改めて感じています。
足りないのはサバイバル術でしょうか(^^)

(2023.10.7 小林孝)


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