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早いもので、さがみこファームを設立してもうすぐ5度目の春がやってきます。どうか今年はいい春になりますように!

この5年間、本当にいろいろなことがありました。今でこそいっぱしな顔をしていますが、農業にド素人の私たちがよくぞここまで来たなと思います。いや、ド素人だからこそ出来たのかもしれません。なまじ知識や経験があったらとても怖くて踏み出せなかったことを平気でやってきたのですから。

耕作放棄地を前にして

5年前、この地に足を踏み入れたとき、背丈をはるかに超える雑草に覆われた耕作放棄地を目の前にして、どうしたらいいかわからず呆然と立ちすくんだものでした。今のさがみこベリーガーデンからは想像できない状態でした。

水がない

そんな場所を開拓してソーラーシェアリングの設備を建設し、太陽光発電パネルの下でブルーベリーの養液栽培を行うことになりました。ド素人は怖いですね。それまでは水がないなんて、実は誰も念頭になかったのです。もし、最初から水問題が念頭にあったらこの計画自体存在しなかったでしょう。慌てて井戸掘り業者に調べてもらったところ、この土地はそのむかし道志川の河床で地下に石が堆積しておりそこを突き破って掘らないと水が出ないとかで、とんでもない見積を突き付けられました。仕方なくブルーベリーを植えた初年度は数10メートル下の谷あいの湧水をタンクに貯めてポンプアップして急場をしのぎましたが、晴天続きで水枯れが起きないだろうか、台風になったらどうしよう、そんなことを考えるとお先真っ暗でした。幸いなことに100メートルほど上段の国道直下の農地に使っていない古井戸があり、調べた結果使える事がわかり、地主さんにお願いして使わせてもらうことができたのでした。まさに神の助けでした。(写真は水の神へ感謝の祈り)

鳥獣や虫たちとの闘い

農道を挟んだ西側の谷の斜面に生えているミズキの大木にキアシドクガの幼虫(毛虫)が大量発生して瞬く間に若葉を食べつくし、そのあと大挙して農道を越えて我がブルーベリー畑に押し寄せてきたのは3年前のことでした。

上段の空き地に日本では稀少なヘーゼルナッツの苗木を100本ほど植えたときのことです。いい感じで枝がのび若葉が出揃った段階で全部シカに食べられてしまい、ヘーゼルナッツ育成の夢を断たれたのは一昨年のことです。

4年の歳月を経て昨年6月ブルーベリーの体験型農園をグランドオープン。ブルーベリーもいい感じで実を付けこれから来客を本格的に迎えようという7月初旬、ヒヨドリの大群が襲来して2、3日間で一気に熟したブルーベリーの実をついばみ尽くしてしまったのです。鳥対策についてはいろいろ検討してはいたのですが、前年はほとんど被害がなかったので甘く見ていました。

農振農用地の規制

農業振興地域農用地であるが故の諸々の規制。一般常識?が通用しないもどかしさ。「耕作放棄されていた荒れ地を活用して新しい形の農業にチャレンジしようとしているのに何で!?」、そんなふうに思うのは私たちの論理で、考えてみれば、農業の“の”の字もわからないよそ者が突然やってきて、応援してくれということ自体、ムシが良すぎる相談だったかもしれません。

苦労の連続の5年間でしたが、最近になって、ようやく行政や地元の方たちからも真面目に農業に取り組んでいる者として認知されるようになった気がしてホッとしています。

新しい展開

そして、今、私たちは新しい一歩を踏み出そうとしています。
この春、生活クラブ生協とのコラボレーションで、発電した環境価値付き電気を、非FITで全量を生活クラブの施設に売電する「オフサイトPPA」と呼ばれる方式の新しいソーラーシェアリング設備を建設、その下でワイン用ブドウの試験栽培をスタートします。今回は40kW程度の小規模のものですが、ここで実証実験し2年後には2メガW級(現在の約7倍)の設備を一緒に建設しようという検討を進めています。

私たちの事業はまだ緒に就いたばかりでこれからが本番。どうか皆さんご支援ください。
(2024.2.24 山川陽一)

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