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大は小を兼ねる―大豆による餡つくり―

大豆は、たんぱく質を豊富に含み、食物繊維、カルシウムなども供給します。栄養面のみならず、大豆は食品への汎用性があることから、日本の伝統的な食材です。豆腐、納豆、みそ等、私たちが大豆もしくは大豆製品を食べない日はないと言っても過言ではないでしょう。今回は、新しい機能性大豆とそれを用いた餡を紹介しましょう。

新しい大豆

新しい大豆とは、佐賀大学で育種改良された「佐大HO1号」(Hはハイ、Oはオレイン酸)です。通常の大豆と比べてタンパク質、脂質(油)、炭水化物濃度に変わりはありません。脂質中の脂肪酸組成を見ると、約80%がオレイン酸と呼ばれる脂肪酸です。通常の大豆に比べて約4倍多く含まれています。オレイン酸は、オリーブオイルに多い脂肪酸(約80%)として知られており、機能として抗炎症作用、LDL-コレステロール低下作用を有することがわかっています。

さらに、唐津南高校食品流通科の生徒さんが作った「佐大HO1号」味噌の脂肪酸もオレイン酸が多いことがわかりました。このように、加工しても「佐大HO1号」の化学組成に変化がありません。

ご存じのように、オリーブは地中海食事の中心的な食素材であり、上記した機能性から糖尿病や心疾患のリスクを下げることが報告されています。「佐大HO1号」は、オリーブを内包した大豆と言い換えることができます。そのために、これまでの大豆以上の栄養的な価値があるかもしれません。

さらに、この「佐大HO1号」から豆乳を作ると、従来の大豆のそれと比べて酸化しにくい(劣化しにくい)ことがわかっています。これは、オレイン酸が酸化防止的に作用していることによると推測されます。したがって、食品への応用が広がったと言えるでしょう。

HO大豆の成分割合

餡に挑戦!

ラボでは大豆から餡を作るというチャレンジをしました。
餡は通常、小豆や手亡豆(白いんげん豆)から餡を作ります。小豆は、大豆と比べて炭水化物が2倍程多く、逆に油は十分の一程しかありません。このような組成の違いが大豆から餡が作れない理由の一つです。しかし、オレイン酸を多く含む「佐大HO1号」を用いて餡ができることがわかりました。
しかも、餡を作った後でもオリーブのような脂肪酸組成が保たれています(上図)。ラボでは、佐賀産の小麦と「佐大HO1号」でアンパンを作ってみました。手前味噌ですが、とてもおいしく出来上がりました(写真)。この餡を使って他のお菓子も作ろうとアイデアを練っております。まさに、「大(豆)は小(豆)を兼ねる」プロジェクトです。

アンパン

新しい大豆はオリーブ様の特性を持ち、通常の大豆よりも優れた食素材でしょう。現在、ラボでは大学との共同研究を実施しており、「佐大HO1号」に新たな機能性が付加されたかどうか評価しています。おいしく、かつ特性を持つ大豆を提供できると考えています。乞うご期待を!

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