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身土不二で仁愛と幸福を感ず

Safeology研究所の田中です。

前回、冨永さんが書いた文章を読んでいて、大学院生の頃、インドカレー作りにハマっていたことを思い出しました。

学生時代、お金が苦しい時期もあったので、友人や彼女の誕生日には、キーマカレーをよく作りました。初めて作ったときは、犀川上流で平べったい石と丸い石を探して来て、クミンやコリアンダーなどの香辛料を砕いたなぁ。結局、2回目からは、コーヒー用ミルを使いましたけど。

安い赤ワインを飲みつつ、お祝いしたい人のことを考えながら、すりおろしたタマネギを1時間炒めるのは、なかなか素敵な時間でした。
もちろん、食べてくれたときの笑顔を見ると、より幸せを感じられましたけど。

私は、福井県の短大にて教員をしています。カレーを作っていた頃は物理学を専攻していましたが、現在はInstructional Design(効果的・効率的・魅力的な学習を設計する)や心理的安全性など、教育工学を専門としています。

私の祖父が料理人だった影響か、私は小学生の頃から料理をすることが大好きでした。そのため、料理をあまり作らない現在でも、全国や海外の学会に行くと、その地域の名物料理とお酒を楽しむことを生きがいにしています。食べたい料理で、発表する学会や研究会を選ぶくらいです。

その土地ならではの食べものを地酒とともに、いただく。この瞬間のために、働いているといっても良いかもしれません。

私が勤める短大が創設された想い(建学の精神)は、「仁愛兼済(じんあいけんさい)」です。「仁」は、家族・友人・祖先をはじめとする、すべての人への感謝。「愛」は、生きとし生けるもの、すべての生命への感謝。「兼済」は、仁愛への感謝にもとづき、他者のために実践すること(ボランティアや市民性など)。

私にとっては、食事をしているときに一番、仁愛を自覚し、感謝するんですよね。
毎年、春になると山菜、夏は越前うに(汐うに)、秋はキノコや新米、冬はセイコガニ(越前ガニの雌)など、旬のものを身体が欲します。

日本で初めて「食育」を提唱したのが福井出身の石塚左玄(いしづかさげん)です。左玄の弟子たちは、仏教用語でもある「身土不二」(身体と自然は一体である)という言葉を用いて、食育の考え方を広げました。

新型コロナ感染症が流行し出した際も、福井県の美味しい食べものと地酒を旬に食べることで、安心と安全を感じ、幸福度ランキング1位を実感しました。

そんな安心な地元があるからこそ、全国や海外を駆け巡ることができるのだと、考えた今日一日です。

文/田中洋一(Safeology研究所研究員/仁愛女子短期大学教授)


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