短編•第一話【創作】
まずはこちらをご覧いただきたい。
※ぼかしで伏せている箇所あり
これは職場の先輩である名塚さんから渡された5人組女性アイドルグループ『あかり組』のワンマンライブのチラシである。
すべての発端は昼休み。職場近くの食堂で一緒にお昼を食べながら雑談をしていた時のことだ。
「●●●●君(私の名前)はさ、アイドルとか興味ないのかい?」
「僕は断然ロック一筋なのでアイドルはあまり聞きませんね。話題に取り上げたってことは、名塚さんはいわゆるドルオタなんですか?」
「まぁそうだね。俺はこのグループにハマっていてね。今度渋谷でライブをするんだけど、よかったら君も来ないかい?一人で参戦してばかりだと寂しくてね。」
そう言って渡されたのが例のチラシというわけだ。「新しい世界が見える」「ファンの加入をきっかけに彼女でも作っちゃいなよ」などと余計なお世話ともいえるゴリ押しをされたものの、結局その『あかり組』のライブへは行かなかった。
*
では、なぜチラシをこうして貰ってきたのか?それは名塚さんが私にそれを見せた時に、チラシの裏面のある箇所に違和感を覚えたからだ。
問題の箇所がここである。
アイドルについての紹介文。ここをもう少し拡大してみると…
黒字の濃さが微妙に違う部分があるのを分かるだろうか。目を凝らしてみると、文中には濃度の濃い黒字が4字。それ以外の黒字は若干薄めなのである。とはいえ、偶然できた濃度のムラとも考えにくい。明らかにデザイン制作時に何かしらの意図があってこのように編集した可能性が極めて高い。なぜなら、その濃い4文字をピックアップしてみると………
これはどういう意味なのだろうか。私は何も詮索をしないことに決めた。
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