股を割りたい

股を割りたい。

いや真面目な話、本気で、180度きれいに開脚出来るようになりたい。

理由は二つ。

股割りは相撲の基礎の基礎である事。
恩師にあったときに綺麗な四股を踏めるようになりたい。その一心。

成人してから高校生になったわたしの担任なった先生は相撲の元国体選手で、公私共にお世話になり、高知のお父さんみたいな存在でもあった。その先生が亡くなってしまったと知ったのは去年の夏。詳しくはその事実が信じられず訊く事ができなかったが、あっという間のことだったそうだ。

休み時間にたくさん相撲の話をした。途中入院した時は身寄りのないわたしを迎えに来てくれた。先生が在籍中に卒業する事ができて今でも本当に良かったと思う。
でも亡くなった人が心の中に生きているなんて嘘だ。
でもいつかは会えるだろう。
そのときに無様な姿は見せたくはない。
そこから四股を綺麗に踏みたいと真剣に思った。
しかし
もう一人の恩師で先生の古くからの友人でこちらも相撲経験者の体育の先生には、腰を下ろしたところでダメ出しされた。それはなぜか。
あとで送ってもらった動画を見るともう腰を落とした時の脚の形が根本的に違うのだ。
そこから、毎日股割りストレッチが始まった。
一年半はゆうに経った今、やっと脚が160度ほどまで開き、胸も床につけられるようになった。
股が割れると四股が安定し、見違えるように綺麗になった。
あともう少し、あともう少し。
先生に合格がもらえるまで、
空に脚が触れられるようになるまで。