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北斎Dressで鐘を鳴らして

貴州省にやってきてから今日で7日目。
現地の先生方は本当に良くしてくれる。
期待の高さを感じ、日々緊張が高まっている。

現段階ではただの日本人・外国人教師という記号で見られることが多い。今後、私個人を見られるときにどのような見方をされるだろうか。
できることをやるだけである。

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最近は胃と目が疲れているのか、もっぱら果物を食べている。

先日、高速道路に乗った際のことである。ガードレールの外に立ち、布をビュンビュンと振り回している人がいた。日本なら、「ややや、あれに見えるは事故ではないか?」と思うところだが、この地では果物売りなのである。

健康的に日焼けした青年から買ったリーズという果物はプラムに似た甘酸っぱい味で、それはまるで初恋のようだと思ったとか、思わなかったとか。

今朝はモモをたべた。
サクリとナイフを入れると、白い幼虫。どの角度でスライスしても幼虫に次ぐ幼虫。
うふふ、そんなこともあるよね。ポイッ。

この家には虫がよく出るので耐性がつきつつある。最近の起床後の日課は、家中の木戸をほうきの柄で叩くことである。これは決して家庭内暴力の予兆ではなく、私が起きたことを虫たちに告げる大聖堂の鐘である。ゴーン、ゴーン。

夜は君たちの時間だ、好きにしてくれたまえ。そのかわり昼は私の時間だ、わかったかね。

「外国のゴキブリは大きくて、鈍くて、可愛いですよ。」

これは研修中に聞いた同期隊員の言葉。

(『堤中納言物語』の虫愛ずる姫君が現代にひょっこりと抜け出してきたら、きっとこんな感じなのだろうな、と思わせる研究者肌の素晴らしい女史である。十二単を脱ぎ捨てて、ウインドブレーカーで野を駆けている。)

彼女の言葉と殺虫剤の缶を携えて、毎朝決死の思いでトイレのドアを開けている。トイレは侵犯問題を抱える危険地帯なのだ。

オオキクテ ニブクテ カワイイ。

ダイジョウブ ダイジョウブ。

ダッテ オオキクテ ニブクテ カワイイ ノダカラ。

魔法の言葉なのか、呪いの呪文なのかよくわからないけれど、何度も唱えていればいつか本当になるかもしれない。

そしていつか来る後輩隊員にとびきりの笑顔でいうのだ。

「こちらのゴキブリは大きくて鈍くて、可愛いですよ」と。

2019年8月11日  選り抜き協力隊日記
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【一口メモ】

そしていつか来る後輩隊員にとびきりの笑顔でいうのだ。

「こちらのゴキブリは大きくて鈍くて、可愛いですよ」と。

・・・・・・後輩隊員は来ましたが、残念ながらまだ言えそうにありません。

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北斎アレンジチャイナ服。見つけたとき、びっくりしてずっと見ていたら、この服がとっても欲しい人だと勘違いされて、なぜか今家にあります。
隊員生活で6キロやせたので、そのうちビフォーアフターを載せますね。

今日は協力隊の日。来年の協力隊の日は何をしているのかな。


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