さえとも

現役保健師です。 介護ブログを書いています。 娘2人と夫、猫1匹と暮らしています。 こ…

さえとも

現役保健師です。 介護ブログを書いています。 娘2人と夫、猫1匹と暮らしています。 これまで仕事であったエピソードや最近考えたことなどを綴っていきます。 介護ブログはこちら→https://saetomo.hatenablog.com/

最近の記事

保健師のキャリア形成について

今回は保健師のキャリア形成についてお話ししたいと思います。 私は医療職として働いて、妊娠・育休を除くと15年以上になります。 若い頃は仕事をこなすことで精一杯。 人の命に関わる仕事をするという重圧に疲れ果て、しばらく心の休養を取りました。 そのあと結婚・出産が続き、専業主婦に。 次女が1歳になった時に、突然働きたくなり総合病院の外来パートとして復帰。 それまでスキルアップのために自ら資格を取ったり勉強会に出たことはありませんでした。 正直言って、看護師や保健師の資

    • 高齢者とアルコール依存

      日本では少子高齢化が進んでいますが、近年高齢者のアルコール依存が問題となっています。 2013年厚生労働省が行った飲酒実態調査では、危険性の高い飲酒とされた高齢者の割合は70代男性で20%と2003年、2008年の調査より増加していました。 高齢者は若い世代と比べて飲酒の影響を受けやすく、比較的少量の飲酒でも酩酊や転倒を起こす要因となります。 高齢者はアルコール依存症になりやすい高齢者がアルコール依存症になりやすい原因としては、ライフイベントによる定年退職で自由な時間が

      • 「ケアラー」という言葉をご存知ですか

        「ケアラー」という言葉をご存知ですか。 こころやからだに不調のある家族の介護や支援を行う人のことをケアラーと言います。 家族の介護をする人は昔からいますが、日本でケアラーという呼び方ができたのは最近です。 ヤングケアラーの課題ケアラーの中でも、18歳未満のケアラーは「ヤングケアラー」といいます。 家事や兄弟の世話をしていると聞くと「家の手伝い」と混同されがちですが、手伝いとは「自分の意思でやってもやらなくても良いもの」とされるのに対し、ヤングケアラーでは「大人が担うよ

        • 介護予防は高齢になってから?

          働き世代からのフレイル予防フレイルとは英語で「フレイリティ(虚弱)」を表した造語です。 聞きなじみのない方も多いかもしれませんが、「メタボ」に続く言葉として少しずつ浸透してきています。 フレイルを日本語に訳すと「虚弱」。 その名の通り、年を取って身体や心が弱って要介護状態になる一歩手前のことを言います。 たいていの人はフレイル予防は高齢者になってから行うものと考えがちですが、実際にはそうではありません。 高齢になってから生活習慣を変えることは難しく、また加齢に伴う

        保健師のキャリア形成について

          日本の介護~いまとこれから~

          かつては家族が行うものとされていた介護ですが、少子高齢化による介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会問題となりました。 こうした中、家族の負担を軽減し介護を社会全体で支えることを目的に、2000年に介護保険制度が創られました。 これによって65歳以上または40歳以上で特定の病気にかかっている人は、要介護認定を受けることで介護保険による介護サービスを利用することができるようになりました。 介護の現状現在の日本では介護サービスを利用しながら家族が自

          日本の介護~いまとこれから~

          認知症と精神疾患の区別は難しい

          親が高齢になって、いつもと様子が違う。 でも認知症なのか精神疾患なのかよくわからないという事はよくあります。 専門知識のない人が鑑別することはまず不可能です。 一番大切なことは専門医を受診することですが、その前に包括支援センターで勤務していた私が経験したことをお伝えします。 どんな情報が必要か専門医への受診をするかどうかの前に、本人の支援を考えるには、まず家族や知人など昔から本人の事を知っているという方の情報が必要になります。 具体的にどんなことを聞いていくかというと、

          認知症と精神疾患の区別は難しい

          医師のパワハラと離職問題

          こんにちは。 介護ブログを書いているさえともです。 今回は病院内での医師のパワハラの現状についてお話ししたいと思います。 職場でのパワハラの定義は私はこれまで大学病院や市立病院など比較的大きな病院で看護師として働いた経験がありますが、どの病院へ行っても必ずあるのが医師のパワハラです。 最近は職場でもパワーハラスメントに関する勉強会が開かれるようになり、少しずつ意識も変わってきていると思いますが、依然として蔓延しているのが医師のパワハラ。 そもそも職場でのパワハラの定義

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          安易にヘルパーに頼らない生活を

          こんにちは。 介護ブログを書いているさえともです。 今回はヘルパー(訪問介護)の利用について、現状をお伝えしたいと思います。 少子高齢化で働き手が少なくなっていることは皆さんご存知だと思います。 少なくとも今後20年は労働人口は減り続けると言われています。 介護の仕事に携わる人々も同じように減ってきています。 特に訪問介護で働くヘルパーの人手不足は深刻です。 私が地域包括支援センターで働いていた時も、ヘルパーを探すのは至難の業でした。 特に介護度の低い、要支援1

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          高齢者と猫の多頭飼育崩壊問題

          こんにちは。 介護ブログを書いているさえともです。 今回は時々出会う、高齢者の多頭飼育崩壊(たとうしいくほうかい)についてお話ししたいと思います。 多頭飼育崩壊とは、ペットを飼ってどんどん繁殖した結果、飼い主が面倒をみきれなくなった状態です。 もちろん若い人にも多頭飼育崩壊はみられますが、高齢になって面倒が見られなくなった結果、起きている場合も多くあります。 近所から異臭などの苦情でわかることが多いですが、私が働いていた地域包括支援センターでは相談があれば実態把握へ行

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          入院中でもタバコを辞めない患者たち

          こんにちは。 介護ブログを書いているさえともです。 今回は私が看護師として働いていた時のエピソードをお話ししたいと思います。 今から20年ほど前の病棟には「喫煙室」がありました。 今では病院の敷地内では喫煙できないほど厳しくなりましたが、当時は患者さんは自由に院内の喫煙室でタバコを吸うことができたのです。 私が働いていた病棟では消化器の病気や血液の病気の患者さんが入院していました。 当然ながら、タバコは百害あって一利なし。 病気の治療中であれば、吸わない方がいいことは

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          認知症のタイプを知ることに意味はあるか

          こんにちは。 介護ブログを書いているさえともです。 認知症にはいくつか種類があります。 1番有名なのはアルツハイマー型認知症でしょうか。 それ以外にも、脳血管性、レビー小体型など。 大きくこの3つが認知症のタイプのほとんどを占めています。 最近では画像検査によって、どのタイプの認知症かを知ることができるようになってきました。 認知症のタイプによって現れる症状に特徴があったり、薬によって進行を抑えることができる場合もあります。 それぞれの認知症の症状や予防方法について

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          高齢者にとって危険なうつ

          私が地域包括支援センターで保健師として働いていた時、毎日たくさんの高齢者に出会いました。 その中で感じたのは、高齢になればなるほど身体の元気度合いの差が大きくなっていくという事です。 80歳にもならずに、要介護になる人もいれば、90歳を過ぎても元気に一人暮らしをしている人もいます。 実はこれは身体的な病気のためだけではありません。 一番問題となるのは、意欲の低下なのです。 若い人が「うつ」になって自宅に閉じこもっても、そう簡単に寝たきりにまではなりませんが、高齢者が

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          介護保険だけで介護はできない

          こんにちは! 介護ブログを書いているさえともです。 介護が必要になったら、介護保険のサービスだけで足りるのでしょうか? 今回は介護保険でのサービスではできないことやその場合はどうすればいいのかについてお話ししたいと思います。 介護保険サービスでできないこと介護保険制度について「そもそもよくわからない」という方はこちらを参考にどうぞ。 介護サービスを受けるには要介護認定を受けますが、介護サービスをどのくらい利用できるかは認定結果によって異なります。 介護度によって使え

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          祖母の認知症と最期に思うこと

          今回は私の祖母の話をしようと思います。 祖母の認知症から最期について、医療職として、また一人の家族として思ったことをお伝えします。 祖母のこと 私の祖母は94歳で亡くなりました。 膝や腰が悪かったけれど、結構元気で80歳を過ぎても1人で電車に乗って150km離れた私の母(娘)のところまでよく遊びに行っていました。 当時、私はすでに仕事で実家を出ていたので、母から祖母の様子を聞くくらいでしたが、時々は実家に帰って祖母に会うこともありました。 祖母は編み物が得意で、若くし

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          地域包括支援センターでの仕事

          前回から私の就職活動、看護師、保健師としての仕事について簡単にお伝えしていますが、今回は地域包括支援センターの仕事についてご紹介したいと思います。 ホウカツってなに?前職を不本意ながら退職してしまいましたが、医療職として働く意欲は全く削がれることなく次へ。 保健師としての仕事がしたいという気持ちは変わらず、でも求人もあまりなく…。 そんなある日、求人情報を見ていると「地域包括支援センター」の仕事が。 お恥ずかしながら、長年看護師として働いてきましたが「ホウカツって何?

          地域包括支援センターでの仕事

          保健師の就職活動

          就職活動 保健師を目指したものの、就職活動はどうだったのか… 保健師という仕事は看護師とは違い、国の制度改正などによって求人がめっちゃ多い年と全くない年があります。 私が新卒で就職活動した年は、前年度に大量に求人があった後で、かなり狭き門となっていました。 保健師の資格を持っていても、新卒は保健所か、保健センターのどちらかの求人がほとんど。 大きな都市にある保健センターの倍率はとんでもなく、箸にも棒にもかからないとはこのことでした。 就職浪人する人も中にはいましたが

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