見出し画像

『パンと雨』:5.引越しをしたとき

彼と同棲することが決まったので、「せいかつ」について書くことにしました。経緯はこちら→『パンと雨』:有料noteはじめます

引越しの疲れで少し熱を出してぐったりしたり、新しい街を開拓したりしているうちに、4月も終わってしまった。同棲日記を書けないまま、1ヶ月もたったなんて、はやい、はやすぎる。寝る前に暗いベッドの上で少しずつ書き留めていたメモがあるので、それを一気に公開します。
少し脈絡のないところや、日本語が変なところがあるかもしれませんが、日記になる前のメモを読んでいるようなつもりで、ぜひ。

==

鍵をもらいに行く日。

わたしの引越しはまだ先だけれど、今日からは新しい家に入れるようになる。桜が満開になっている最寄駅を、車で走っていく。どこか遠くにお出かけするような非日常な気分だけれど、今日もらう鍵は、新しい「日常」の一歩なのだ。
二人して6ヶ月以上前の住民票しか持っていなかったので、車でちゃちゃっと二人分取りに行く。途中、彼の友達のところに、家具を組み立てるための工具を取りに行った。お土産にフルーツサンドを買いたくて、行列に並んでいたけれど時間がなく、途中で断念した。フツウニフルウツというお店。今度こそ買いに行きたい。

車の中で、歌を口ずさむ彼を見ながら何度か思う。あと何日かしたら、わたしの家具はすっかりあの家からなくなって、わたしの帰る場所は彼のところになる。同じく、彼の帰る場所もわたしのところになる。バラバラのところに住んでいた二人が、同じ場所を「帰る場所」と思うようになるのは、なんだか不思議。

ここから先は

6,284字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?