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詩集B(20代の頃に書いた作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、大学時代から20代の終わり頃にかけて書いた(今へと繋がるターニングポイントに当たる)詩作品の数々を、このマガジン内で無料… もっと読む
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2020年12月の記事一覧

詩 『人 間 』 (20代前半の作品)

作:悠冴紀 それでも私は人間が好きだ 笑われ 叩かれ 裏切られ それでも人間は立ち上がる 彷徨い 泣き叫び 過ちを犯し それでも人間は歩み出す 多くが脱落していっても 生き残る者は生き残る ある人は歌い出す いくつもの想いを旋律に乗せて ある人は描き出す いくつもの経験を形に変えて ある人は語り出す いくつもの教訓を言葉にして ブラウン管の向こう側 キャンバスの向かい側 教壇の上 負から転じた無限大のエネルギーに 多くの人々が共鳴する 叩かれた分だけ 

詩 『悪 夢』

作:悠冴紀 昨日 悪夢を見た これまで味わったこともない恐怖の味 そこには親友がいない 私には “ 今 ” しかなかったのに 親友が “ 今 ” のすべてだったのに “ 過去 ” の亡骸 “ 未来 ” の虚無 私には “ 今 ” しかなかったのに 親友がいるから生き延びてきたのに 生きるか否か 迷っていた そこには親友がいない 永久に相容れない大勢と 家族という名の他人に囲まれて 私は呆然と立ち尽くしている まるで糸の切れた操り人形 生き甲斐そのものを失っ