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成長戦略実行計画-フリーランス保護制度の在り方-

成長戦略実行計画

2021年6月18日、成長戦略と骨太方針が閣議決定。成長戦略の第5章は、 「人」への投資の強化。

第5章 「人」への投資の強化

1.フリーランス保護制度の在り方
実態調査によると、取引先とのトラブルを経験したことがあるフリーランスのうち、そもそも書面・電子メールが交付されていない者や、交付されていても取引条件が十分に明記されていなかった者が6割となっている。こうした状況を改善し、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するため、事業者とフリーランスの取引について、書面での契約のルール化など、法制面の措置を検討する。
フリーランスのセーフティーネットについて検討する。

2.テレワークの定着に向けた取組
テレワークの定着に向けて、労働基準関係法令の適用について、ガイドラインの周知を図る。
また、全国において良質なテレワークを推進するため、ICTツールの積極的な活用やサテライトオフィスの整備等を進める。
事業者にテレワークの実施状況について公表するよう促す。

3.兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現
多様な働き方や新しい働き方を希望する方のニーズに応え、企業における兼業・副業の選択肢を提供するとともに、短時間正社員等の多様な正社員制度の導入を促進する。産業構造の変化に伴う労働移動の円滑化を図るためにも、フェーズⅡの働き方改革を推進する。
選択的週休三日制度について、好事例の収集・提供等により、企業における導入を促し、普及を図る。

4.女性・外国人・中途採用者の登用などの多様性の推進
日本企業の成長力を一層強化するため、女性、外国人、中途採用者が活躍できるよう、多様性を包摂する組織への変革を促す。
留学経験者や国際機関勤務経験者など異なる文化を経験している方の活躍の場を広げる。

5.人事評価制度の見直しなど若い世代の雇用環境の安定化
子育て世代の収入の向上・安定を図るため、企業の人事評価制度の見直し等を通じて、若い世代の雇用環境の安定化を図る。

6.労働移動の円滑化
リカレント教育の推進など、産業構造転換に伴う失業なき労働移動を支援する。
また、特に、コロナ禍により雇用が不安定化しているのは、前述のとおり、飲食・宿泊・文化芸術・エンターテインメントなどで働く非正規雇用労働者の方々である。特に、女性の非正規雇用労働者で20代~40代の方々への影響が大きい(図8)。
他方、女性の非正規雇用労働者の方々に非正規雇用を選択した理由を問うたところ、正規雇用の仕事がないからは10.3%であり、都合の良い時間に働きたい(39.9%)、家事・育児・介護と両立しやすい(19.7%)といった優先順位が高く(図9)、時間的制約があるため、フルタイムの職業への労働移動は困難なケースが少なくない。
これらの方々のために、現在増加している正規雇用職への労働移動と時間的制約の少ない職への労働移動の選択肢を提供する。
このため、非正規雇用の方々が、簡単なトレーニングを行って、時間的制約の少ない事務職などに失業なく労働移動できるシステムを検討する。同時に、企業側にも、勤務時間の分割・シフト制の普及や、短時間正社員の導入など多様な働き方の許容を求める。

成長戦略実行計画案(PDF)

hamachan(濱口桂一郎)ブログ・コメント

hamachan(濱口桂一郎)ブログ・コメント

「フリーランス保護制度の在り方」については、今年3月にあんまり中身のない(既存の措置をまとめただけの)フリーランスガイドラインを作ったけれども、それで済むわけはないので、これからきちんとフリーランスの保護制度を作っていかなければならないのは当然でしょう、その際、何よりも社会政策的観点をきちんと踏まえることが何より重要なはずです。そしてその際には、先進諸国で続々と進みつつあるプラットフォーム労働への対応状況をちゃんと吸収していただきたいと思います。

労働移動の円滑化のところは妙に詳しく書かれており、かつ「非正規雇用の方々が、簡単なトレーニングを行って、時間的制約の少ない事務職などに失業なく労働移動できるシステム」って、具体的にどういう「事務職」を考えているのかよくわからないところがありますね。もちろん、女性に限らず「時間的制約の少ない職への労働移動の選択肢」というのは大変重要なんですが、そこのところのイメージが現実とずれているとうまくいかない可能性があります。

「これからきちんとフリーランスの保護制度を作っていかなければならないのは当然でしょう」と指摘されているが、同感。

成長戦略・第5章 ・1のフリーランス保護制度の在り方に「フリーランスの方のセーフティーネットについて検討」とあるが、検討だけでなく速やかにフリーランス・セーフティーネット構築に向けて政府は動いてほしい。今、厚生労働省で進められている労災特別加入制度へのフリーランスの追加だけでは不十分。