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連合「テレワークに関する調査」

連合「テレワークに関する調査」
感染症予防対策としてテレワークを導入する職場が急増しているが、連合(日本労働組合総連合会)は、テレワークで働く人の意識や実態を把握するため、「テレワークに関する調査」を2020年6月5日~6月9日の5日間、インターネットリサーチにより実施し、今年4月以降にテレワークを行った全国の18歳~65歳の男女(会社員・公務員・団体職員・パート・アルバイト)1,000名の有効サンプルを集計。調査結果を連合のウェブサイトに公開。

テレワーク調査結果のポイント
1 今年4月以降のテレワークの状況 ・テレワーカーの7割超(72.7%)が勤務日の5割以上をテレワーク勤務
・通常の勤務よりも長時間労働になることがあったと半数超(51.5%)が回答
・時間外・休日労働をしたにも関わらず申告していない回答者が 6 割超(65.1%)
・時間外・休日労働をしたにも関わらず勤務先に認められない回答者が半数超(56.4%)
2 時間外・休日労働をしたにも関わらず残業代を申告しなかった理由
1位「申告しづらい雰囲気だから」(26.6%)、2位「時間管理がされていないから」(25.8%)
3 テレワークの際の労働時間の管理方法
99人以下の職場では「労働時間管理をしていない」が 23.5%
4 テレワークの継続意向
今後のテレワークの継続意向については「希望する」が 8 割超(81.8%)
5 テレワークのメリット・デメリット
テレワークのメリットでは「通勤がないため、時間を有効に利用できる」(74.6%)が最多、 デメリットでは「勤務時間とそれ以外の時間の区別がつけづらい」(44.9%)が最多
6 小学生以下の子どもを抱える回答者
小学生以下の子どもを抱える回答者の8割超(80.9%)がテレワークの困難さを感じている
7 テレワークを継続する上での主な課題
「会社トップの意識改革」(31.3%)、「経費の負担」(28.6%)、「適切な労働時間管理」(24.2%) 

連合テレワーク調査コメント
黒田祥子・早稲田大学教育・総合科学学術院教授が、連合「テレワークに関する調査」に関連して「今般のテレワークは、緊急導入による準備不足で通常どおりに仕事が回らず、長時間労働になりがちだったという課題が浮き彫りになったものの、通勤時間の減少等を始め、テレワークのメリットを多数の人が実感した機会だったといえます」とコメント。さらに黒田教授は「セキュリティ対策や通信環境の充実、自宅の環境整備の費用補助、紙文化のワークフローの見直し」といった課題を指摘。

今回の調査では、テレワークにより通常勤務よりも長時間労働になったと回答した人の割合が半数超 (51.5%)でした。ただし、回答者の8割以上が今後もテレワークを継続したいと答えています。つまり、今般のテレワークは、緊急導入による準備不足で通常どおりに仕事が回らず、長時間労働になりがちだったという課題が浮き彫りになったものの、通勤時間の減少等を始め、テレワークのメリットを多数の人が実感した機会だったといえます。
今後は感染予防対策だけでなく、新しい働き方への転換を見据え、テレワークをメインとする体制を展望していく必要があります。そのためには、セキュリティ対策や通信環境の充実、自宅の環境整備の費用補助、紙文化のワークフローの見直しなど、今般のテレワークで浮かび上がってきた課題を洗い出し、労使でそれらの解消を急ぐことが不可欠です。
また、今後は一つの企業に定時に出社し、まとまった連続時間で働くことを前提とした現行の労働時間規制は見直していく必要もあります。テレワークが急速に普及する中で、厳格な時間管理は現実的なのか、どの程度自律的な働き方を許容し、短期的に成果が出にくい業務に対しては評価をどの程度猶予すべきか、仕事と生活の線引きをどう担保するか等を労使で話し合っていくことも重要です。働く側も、時間管理や健康確保は労働者自身で行っていく時代になることを見据えたマインドチェンジが求められるようになっていくでしょう。(黒田祥子・早稲田大学教育・総合科学学術院教授・コメント、連合「テレワークに関する調査2020」より)

また、ITmediaビジネスオンライン(2020年7月1日配信)は「テレワーク化を理由に給料下がった人、約3割に-連合調査」と題した記事で連合のテレワークに関する調査を報じ、「管理職や会社側からすれば『部下がサボるのでは』などと疑心暗鬼に陥ることもあるテレワーク。一方で、従業員側にとっては労務管理や残業代の支払いなどが適切に行われず、不利益を被る可能性も少なくない。コロナ禍を機に在宅勤務が浸透する中、企業側の対応が問われる」とテレワークの課題を指摘した。

連合「テレワークに関する調査2020」(PDFファイル)