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初めての個展「12ヵ月の花と猫」ふり返り


個展DM

こんばんは。
鹿児島のイラストレーター佐伯翼(さえきつばさ)です。
今日は2022年の大晦日。もうすぐ年が明ける頃にこの記事を書いています。

Twitterでも触れていました自身の初個展について、よかった点・反省点をふり返ってみようと思います。
初めての個展の話ですので、すでに個展を経験されている方にもこれから個展を予定されている方にも参考になるかはわかりませんが、私自身の備忘録を兼ねた世間話として読んでもらえたら嬉しいです。

きっかけ

元々私のイラストは個展には向いていないタッチだと思っていたので、個展をするという選択肢が全く頭にありませんでした。

ではなぜ今回個展を開催したかというと、理由は2つ。

1つ目は、地元の先輩イラストレーター前田陽子さんの個展に行ったことで急に興味が湧いてきたこと。
前田陽子さんは鹿児島で10年以上イラストレーターをされています。
架空の島の生物や植物を水彩絵の具で描かれたイラストの展示は2週間にわたり、前半の1週間は昼の島のイメージ、後半の1週間は夜の島のイメージという、前半と後半で全く違うユニークなコンセプトでした。世界観も細部まで作り込まれていて、実在する島の話だと思い込む鑑賞者も少なくなかったようです。(私もその一人でした笑)
影響を受け易い私は、面白い展示は見る人を楽しませることができるんだ!と漏れなく感銘を受けました。興味を持つとすぐにやりたくなる性格で、実はそれからすぐ陽子さんが展示をされていた会場での開催を検討したのですが、結果的にスケジュールが合わないことが判明し、見送っていました。

2つ目の理由は、自分の経験不足に気づいていた・気になっていた為です。
個展や展示経験についてもそうですが、私は絵で自分を表現するということがあまりできておらず、「1枚絵」の制作量が足りていないと感じていました。
じっくりと時間をかけて1枚を描き、連作を制作したいとうい思いがありました。


個展の様子

そんなことを考えていた7月、東京都世田谷区にあるギャラリーのMOUNT tokyoさんから個展をしませんかと声をかけてもらいました。
あまりにもタイミングがよく、これはやるしかないなと。
MOUNT tokyoさんでは2021年の12月に初めてのグループ展へお誘いいただき、その後MOUNT CLUBという会員制のコミュニティにも参加させてもらっています。(MOUNT CLUB会員は個展の割引もあって助かりました)

MOUNT tokyoさんは多くのイラストレーターが所属していて、グループ展も個展も一年中行われています。この人のイラスト見たことがある!!という人気の作家さんも多くて、実はもしここで個展ができることがあれば嬉しいけども、私は無名で実力もないからまだまだ無理だろう…なんてぼんやりと考えていたので最初に個展のお話をいただいた時は、正直現実味がなかったです。

憧れのギャラリーさんでまさかの個展…
これはやるしかないな、と(2回目)

展示までのスケジュールや展示方法、グッズ等についてもきっちりとマニュアル化されていて、さすがの安心感でした。
また、コンセプトやクオリティについても相談できたことは感謝です。


MOUNT tokyo

実は(実は使いすぎの語彙力不足)最初こそ舞い上がっていましたが、日に日にプレッシャーを感じてなかなか制作が手につかず、夏の間は悩み倒していました。

私でいいのだろうか…と。
私よりも全然有名な人がたくさん所属しているのに、私が個展をしてもいいのだろうか…お客さんが一人も来てくれなかったらMOUNTさんにも迷惑がかかるのでは…と。

先日Twitterで人と比較しても仕方ない的なことを(リツイートで)言っていましたが、あれは本当に比較してしまう自分への自戒でした。

さらに個展をするならタッチを見直したいなんて考えていたので、だいぶ沼にはまっていたように思います。
ラフは8月の初旬に12枚とも描いていたのですが…

悩んでいる最中はイラストレーターの友人堀北阿希ちゃん(おしゃれでクオリティが高くてMOUNTさんでの5月の個展が大盛況!)に相談したり、当時地元の商業施設で個展をされていた先輩イラストレーターの竹添星児さんに個展会場でも相談に乗ってもらったりと…
皆様ご迷惑をおかけしました汗 ありがとうございました!!

いろんな人に背中を押してもらい、なんだかんだで
やるしかない!!個展をやってみたい!!という気持ちで遅いスタートながらも走り切り、なんとか形にはなったかなと思います。

(「きっかけ」が長くなってしまったのでここからは駆け足気味で)


展示作品

展示コンセプト

今回の個展のコンセプトはかなり早い段階で決まっていて、個展に興味を持ち始めてからもなんとなく花と猫をモチーフにした華やかな絵を描きたいと考えていました。
ちょうど年末が近い展示ということで1年間の各月とその時期に咲く花、3匹の子猫の成長を描くことにしました。

ところで猫って口にしてしまうと最悪死にいたるような毒になる植物があることを知っていますか?
よくネギ科が危険だと聞きますが、調べてみるとたくさん出てきます。
それはもう、覚えきれないほど…
うちでは猫が届く場所に植物は置かないようにしています。

猫と花って相性が悪いのかもしれない…一度はやめようかとも考えましたが、絵なんだから、何も現実味がなくてもいいんじゃないか。そう思い、親指姫のように植物から生まれとても体が小さくて毒に影響されない子猫たちを描くことに。割と現実主義な私には珍しくファンタジーな発想です。
誕生の様子は展示左下の手作りオーナメントで表現しました。


左下のオーナメント(MOUNTさんからいただいた写真)

また、いやらしい話かもしれませんが、私は常にお仕事につなげたいと考えていて、今回の個展もやってみたいお仕事につながればいいな…なんて考えていました。

やってみたいお仕事というのは、テキスタイルのイラストです。
趣味で(ほんとたま〜にですが)ハンドメイドをしていて、手芸ショップで既製品の布を手に取る時に「もし自分のイラストが柄として製品化されたらどんな使われ方をするんだろう」と想像したりしています。
個展での作品は結果的にあまりパターンぽくはありませんでしたが、少し自分のイメージする方向性に近づけたかなと思っています。


キャンバスプリント

印刷について

私は基本的にデジタル(iPadでprocreate使用)での制作なので、印刷が必要になります。
今回は友人の勧めで、徳川印刷さん(https://www.tokugawa.matsudaira.co.jp)を利用させていただきました。印刷方法はジークレーのキャンバスプリント。
ジークレー印刷とは、美術品にも使われる高品質で長持ちする印刷方法です。

キャンバスプリントを選んだのは、側面まで絵柄を入れたかったから。
写真では気づいてもらいにくい点で、実際に個展会場まで足を運んでくれた人により立体的に見てもらえると考えました。
12点全部に施すとクドくなるかなと思い、半分の6点に。
側面の巻き込みまで計算して描くのは初めてで、少々難しさもありましたが、結果的にグッズのデータを作る時の塗りたしの役目も果たしてくれてよかったです。

徳川印刷さんは後から知ったのですが、イラストレーターさんの利用者も多いようです。
メールでも丁寧に対応していただき、キャンバスの裏に紐掛け処理もしてもらえて助かりました。複数枚あると紐掛け作業は地味に大変ですよね。


グッズ

グッズについて

今回新しく製作したのは
・2023年カレンダー(A6卓上サイズ・日曜始まりと月曜始まりの2種)
・ステッカー
・パラパラ漫画のZINE
・タオルハンカチ3種(うち2種が新作)
・オーナメント(ハンドメイド)

最初に12ヵ月を描くと決めた時からカレンダーは作ろうと決めていました。実は(また実は)カレンダーは以前ビリヤード場で働いていた時からほぼ趣味で毎年作っていたので、気持ちのうえでのハードルは高くなかったです。当時は九州内でのビリヤードの大会のスケジュールを全て掲載して自宅のプリンタで印刷し、カレンダーハンガーをつけて購入者に発送まで一人でしていました。
とにかく気をつけていたのは、日付や祝休日を間違えないこと。
今回も資料を複数見て、全て4回は確認しました。(心配性なので)

MOUNTさんは元々ZINEのお店でも有名なので、展示の時にはZINEの制作も推奨されます。私が在廊中の印象ですが、個展・グループ展関係なくZINEを目的として来られる人も半数ぐらいかなという感じでした。


芳名帳

手作りの芳名帳

グループ展で在廊されていたイラストレーターさんたちに度々驚かれたのが、芳名帳が手作りだったということでした。
手作りと言ってもイラレで作成したデータを自宅でプリント・カットし、既製品のバインダーにまとめただけの簡単なものです。
表面のみですがPDFデータを載せますので、ご自由にお使いください。

工夫したと言える点は、芳名帳に住所を書くことへの抵抗を減らしたいという考えから、来場者の方一人につき片面1ページに記入してもらう仕様にしたことです。
書いた後ページをめくってもらうと、裏面に記載していた文字で書いた内容が隠れるようにしました。プライバシーを完全に守れるかというと難しいですが、芳名帳に住所を書いてもらえればお礼状も出せるので、なるべく書いていただきたいという思いから。

バインダーはマルマンのルーズリーフバインダーミニサイズ 5穴 レッド FM62-01です。Amazonのページ 5つの穴はルーズリーフ用の穴あけパンチを使っています。

インスタ広告試してみた

先日までインスタのインサイトの見方も知らなった私ですが、個展の投稿で初めてインスタの広告ツールを利用してみました。
期間は5日×2回。料金は1回が3千円ほど。広告として安いかどうかはわかりませんが、インスタの公式が出す広告なら安心だし、ちょっと試してみたいというほんの出来心です。

結果から言うと、個展において成果があったのかどうかはわからず終いです。
私が全日程で在廊できたわけではないので、来場者の方全てにお話を聞けた訳でもりませんが、インスタの広告で初めて目にして個展に来てくれたという人には出会えませんでした。
ただ、10日間の期間中に100人ほどフォロワーさんが増えました。
インサイトを見ると、1回5日間で約3000〜4000人にリーチされ、プロフィールへのアクセスはそのうちの約1割、フォローをされたのが50人ほどでした。
少なからず活動を知ってもらうきっかけにはなったようですが、個展の宣伝として有効かというと、う〜ん?でした。

元々のフォロワーさんにも表示されていたようでしたので、もしかしたらインスタで私の広告が表示されたフォロワーさんもいたかもしれません。既存のフォロワーさんに広告は必要ないので、そこはどうかと思いますが。😅

今後の展示予定

最後に、今後の展示の予定ですが…
予定は今のところありません。
2022年は個展を含む4つの展示やイベントに参加してみました。
しばらくは展示はお休みしてもいいかな、といったところです。

好奇心が強く急に新しいことをやってみたくなる性格なので、今後のことはわかりませんが笑

反省点とよかった点

反省点

  • (繰り返しになりますが)ラフの後、欲をかいて悩みすぎたこと

  • 慣れたタッチで描くのがスムーズだし安全

  • 他の展示イベントとスケジュールが若干重なり、準備が大変になってしまった

  • コロナに罹ってスケジュールがさらに押した

  • 他の人が撮ってくれた写真を見ていたせいか展示会場の写真を自分で撮るのを忘れた(終わってからきづいた)

よかった点

  • 個展を経験できたこと(やってみないとわからないことはたくさんあった)

  • 1枚絵を完成させられた(ハードルは低いけどもまずは完成させることが…)

  • 仕事でお世話になっている方や友人知人に久しぶりに(またははじめましてで)直接会えた

  • (これはグループ展も同時開催されるMOUNTさんならではかもしれませんが)イラストレーターさんとも色々と話す機会があった


最終日

まとまりのない文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

2023年もよろしくお願いします!

イラストレーター  佐伯  翼

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