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チーズバーガーのピクルス

某有名ファストフード店のチーズバーガーにはピクルスが入っている

母はそれを抜いて食べていた
幼い私たち兄妹は、食べる前にそれ母に抜いてもらう儀式があった

いつからだろう
兄がそれを入れたまま食べるようになった
母が聞いても別にいいと言ってそのまま食べるのだ

しばらく私は
兄に取らないの?としつこく聞き
どこかで兄に

ピクルスを除いて食べる組

に帰ってきて欲しいと願望を抱いていた
そして、なぜか兄に裏切られたような気がしていた

私が初めてそれを入れたまま食べたのはいつのことだっただろう
友達の前で取り除くのがカッコ悪かったからか
あれ、別に手をケチャップまみれにして取り除くほどではない
そう思ったのをぼんやりと覚えている

記憶のあるかぎり
私がそれを食べて美味しくないと感じたことはない
私が美味しくないからそれを取ってもらっていたわけではない
初めからそれは取り除かれていた
母が嫌いだから私たちからそれは抜かれていた

私がそれを食べるようになったころ
母が私に取らないの?と聞いてきたことを覚えている
なんとなく後ろめたいようなそんな気持ちで誤魔化したことも
そして母が目の前で自分の分から取り除いていたことも

小さなことだろう
チーズバーガーのピクルスなんて
小さなことだろう
味覚の違いなんて

チーズバーガーを食べると必ず母を思い出すのはどう表現すればいいだろうか

あれは母の愛であろうか
あれは母の洗脳であろうか

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