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【枕草子】七月ばかりに(第四十一段)

七月ばかりに、風いたうふきて、雨などさわがしき日、おほかたいとすずしければ、扇もうちわすれたるに、汗の香すこしかかへたる綿衣のうすきを、いとよくひき着て昼寝したるこそをかしけれ。
枕草子 第四十一段

【解釈】

七月ごろに珍しく風がめっちゃ吹いて、雨がざんざん降る日。たいがい涼しいので扇で仰ぐことも忘れてしまって、汗の匂いを少しだけまとっている綿入れの薄いのを、すっぽりかぶってお昼寝した。なかなかよかった。

難解な単語はなく、ざっくり読んでも充分に意味が取れる段です。

7月頃とふんわり書かれているけれど、旧暦だし、時期には幅がありそうです。今で言う9月の半ば頃だったりするのかな。

暑い暑い京都の夏でも、9月の下旬ともなればすっかり涼しくなっていたような気がします。四半世紀前の記憶だけれど、10月の秋学期が始まる頃には長袖必須だったような。

そして札幌に住むようになって、旧暦でなく新暦の7月でも、たいそう涼しい日があるということに驚きます。

そもそも自宅でも冷房はほとんど使わないし、夜は寒いかもと上着を持って出かけるのも珍しくない。これまでに経験したことのない感覚です。

7月のひんやりする日に、薄手のふとんをかぶってお昼寝するのが心地よい。そう書いた清少納言の気持ちが、ようやく実感できたような気もします。

7月の涼しいお昼寝。たしかになかなかいいものですね。


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