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【百人一首】(いにしへの/六一・伊勢大輔)
いにしへのならの都の八重桜けふ九重(ここのへ)ににほひぬるかな
(六一・伊勢大輔)
【解釈】
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かつて奈良の都で咲いていたという八重桜が、今日は九重、宮中で美しく咲き誇っています
出典は「詞花集」春 二七。
作者は伊勢大輔(いせのたいふ)。中宮彰子のサロンに勤めていたので、和泉式部や紫式部の同僚にあたる人です。
生没年は不詳ですが、紫式部と同時代を生きているとなると10世紀の終わりから11世紀前半くらいでしょうか。
この歌は一条天皇に献上された美しい八重桜を見て詠まれたもの。
当時はまだ京都に八重桜は少なく、八重桜=奈良のもの、というイメージがあったようです。(とはいえソメイヨシノは江戸時代に作られたと言われているので、当時の京都の桜がどんなだったのか、気になるところではあります。)
さて、歌の中身。「いにしへ(古)」と「けふ(今日)」、八重と九重という対比があざやかで、洗練された表現です。
九重、とは宮中のこと。
八重の桜が九重、という数字をたたみかける楽しさと、末広がりで縁起のよい雰囲気もあります。雅な表現の中に、桜の美しさとともに一条天皇の御代を称えているのでしょう。
それにしても平安時代の人たちからすでに古都扱いされていた奈良って、やっぱりすごい。
奈良の桜と言えば奈良公園、春日大社あたりもいいのですが、やっぱり吉野山でしょうか。山全体を覆いつくす桜は色とりどりで、八重桜もたくさんありそうです。
数年前に思い立って吉野の桜を見に行った時は、まさかの雨。それでも桜はきれいで、桜シーズンの吉野とは思えないほどすいていたのでそれはそれでよかったのかな。
次回は晴れた日の吉野で、またお花見したい。
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