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【百人一首】(朝ぼらけ/六四 ・権中納言定頼)
朝ぼらけ宇治のかはぎりたえだえにあらはれわたる瀬々の網代木(あじろぎ)
(六四・権中納言定頼)
【解釈】
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夜が明けてほのぼのと朝になりかかる頃、宇治川の川霧が少しずつ晴れて切れ切れになってくる。その霧の絶え間から、瀬にかけられた網代木がぽつりぽつりと姿を現すのが見える。
ここ数日は、10年に一度の寒波などと言われています。
今住んでいる札幌はそこまでレアな寒さではないようですが、マイナス10度はやっぱりこたえます。さむい。
順番に百人一首を取り上げていたら、ちょうど冬らしい歌が出てきました。
出典は「千載集」冬 四一九。
作者の権中納言定頼とは藤原定頼(ふじわらのさだより)、藤原公任の息子にあたる人です。
父親譲りの才にあふれ、歌のほか音楽や書にも長けていたと言われています。
「網代木(あじろぎ)」とは川に打つ杭のようなもの。網代木の間に木や竹を編んだものをかけて魚をとる仕組みになっていて、宇治川の冬の風物詩的な存在でした。
現代でいうと、鮎をとるための「やな」みたいな感じでしょうか。
夜の間じゅう一面に立ち込めていた川霧が、明け方から少しずつ晴れて散り散りになってくる。途切れた隙間から見えるのは、宇治川に立てられた網代木たち。
宇治に行った時に、目の前にあった風景をサラッと詠んだ。ただそれだけなのに、とても洗練されていてセンスを感じます。美しい。
静かな朝の風景と、冬の冷たい空気感が伝わってくるような歌です。
自分の心情をひたすら歌い上げる、みたいなものとはまったく別の美しさ、強さ、そして切なさがありますね。
冬の宇治には何度か行ったことがありますが、独特の風情があって素敵です。澄んだ空気の中、しんしんと底冷えがしてとっても寒い。
定頼が見た宇治の朝は、今も本質的にはあまり変わっていないのかもしれません。
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