【万葉集】萩の花(巻八・一五三七/一五三八 山上憶良)
【解釈】
万葉集の巻八、「山上臣憶良、秋の野の花を詠める歌二首」です。
意味も何も、そのままですね。秋の七草を並べた、平和でかわいい歌です。
現代の七草(ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ)と微妙に違うような気もするけれど、実は同じものなのだそうです。
あまり聞きなれない「尾花」とはススキのこと、そして「朝顔」は今で言うキキョウなのだとか。(現代の私たちが朝顔と呼んでいる花は、もっと後の平安時代ごろに広まったと言われています。)
歌の意味は特に論点はなさそうですが、問題は二首目の歌をどこで区切るのか、というところでしょうか。声に出して読み上げてみると、何か変です。
初見ではリズムの取り方が難しいかもしれません。これはよくある五七五ではなく、五七七・五七七の「旋頭歌(せどうか)」というやつだから、なのです。
古典の授業で「短歌・長歌・旋頭歌・仏足石歌」なんていう区分を習った時には後半ふたつ何やねんと思っていたのですが、ちゃんとこんな良作がありました。
薬師寺界隈をのぞいてマニアックすぎる存在である仏足石歌はともかくとして、旋頭歌は万葉集、古事記や日本書紀にはたまに登場しています。もともと2人で五七七ずつ詠んで合作にする形式だったとも。
旋頭歌だぞ、と心に刻んで五七七・五七七のリズムでまた音読してみると、なお楽しい歌ですね。
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