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webtoon週刊連載こんな感じでやってました。

◆webtoonの「週刊連載作業フロー」を紹介したメイキング記事です。


縦読み漫画(webtoon)も増えてきたので、見たことがある方も多いと思います。
わしも「硬い彼とやわらかすぎる彼女」をwebtoon形式で描いてきたけど、実は
・初の週刊連載
・初のフルカラー
・初のwebtoon

と、初めて尽くしでしたorz

この手探り野郎が実際どういう感じで作業していたか…
本編で描けなかったエピソードの一部を描いてみたので
興味のある方は↓をご覧くださいorz

作業フロー

※漫画の描き方は人によって違います。これはあくまでわしの描き方です。

1話ができるまでのフロー

①プロット作り(シナリオ制作)
②用紙にコマ割りしてセリフを置いていく
③3Dモデルを配置していく
④簡単な表情や簡単な背景を入れていく(ネーム制作)
⑤担当さんにネーム提出
 (合格するまで②(修正)→⑤を繰り返す)
⑥作画(ペン入れ)
⑦作画(人物色塗り)
⑧作画(背景・効果入れ)
⑨セリフをキャラごとに色分け
⑩仮納品&担当チェック(合格するまで修正)→納品(入稿)終了

これを一週間でやってました。


作業のくわしい内容

①プロット作り

ストーリーの大筋はすでに頭の中でできている状態。
各キャラのセリフと簡単なト書きでどういう演出をしていくか文字でシナリオを作ります。
(これは作らない方も多いです)
わしはこれをすることで画面が頭に描かれていきます。

これが原本になるけど実際コマ割りして描いた時に余分なセリフは削ったりして変えます。

②用紙にコマ割りしてセリフを置いていく。

わしはPCの性能もあり1枚横690px縦10000pxの用紙設定で描いてました。
1本は約10コマx4枚(総40000px)を基本にしてました。

これで1枚分。
セリフなどの文字はシナリオをコピペして貼り付けています。
※ずっとページ漫画で描いてきたので
webtoonの表現方法が活かしきれてませんorz

③3Dモデルを配置していく

コマごとにフォルダを作ってマスクをかけておきます。

もちろんすっとばして④でもOK

④簡単な表情や簡単な背景を入れていく

③をしない方は
ここでラフ画を描くことになります。
自分が楽な方法でやってくのがいいと思います

わしの場合、これがいわゆる「ネーム」になります

⑤担当さんにネーム提出

これが合格しないと次に進めません。
(担当さんによっては棒人間状態やシナリオだけでもOKという方も居るので、事前に相談しておくと楽です。)

⑥ペン入れ

⑤で修正が入った場合は修正し、OKが出たらペン入れに入ります。

え?下書きは…?って…?
わしの場合
「一発目の絵が一番活きがいい(特に表情)」
「④の段階で下書きの絵が見えてる」
「時間の短縮」←これがかなりでかい
というわけで…
『個人的な癖』&『週刊連載の納品リミット』のため
わしは下書きをかねてペン入れしてました。

ペンで紙に描いたらホワイトしか手がない
(「ホワイトで描く」作家さんも居ます)
でもデジタルならアンドゥでもいいし、消しゴムツールでもいい。

勢いを失わずに描いてバンバンはみ出しても、範囲選択してクリック一つで消せる
元々コマを範囲選択しておいてから描いてもいい。
線がベクターなら消しゴム一振りで、要らない線を丸ごとでも部分でも消せる。
拡大縮小時、線の太さも一発で変換できる。

清書時に慎重に描きすぎて勢いがなくなってしまう(絵が死んでしまう)タイプの人や
アクションではみ出しを消すのが面倒な人とかはデジタルの方がいいかも…?

※デジタルは紙の書き味と違いすぎて苦手な人も多いと思うけど
液晶タブレットにペーパーライクフィルムを張って
ペン先はフェルト。とか自分にぴったりのセットを見つけるとかなり気にならなくなります。

※「コピペが楽」なのもデジタルの利点かも。
コピペ=悪みたいな空気もあるけど、
「顔はコピーして張り付けている」というアナログの超大御所作家さんも居ます。
シーン効果として、「誰かのセリフに凍り付く」とかでセリフを言ってるコマをコピペ&色反転して使ったり
「熱弁している相手を鉄のように表情を変えずに聞いている」シーン
ギャグマンガで「コピペであることで笑いを生む」など
「同じ絵を使うことで効果的な場合」では駆使していいと個人的には思います。
(もちろん全部描いても良いです。締め切りに間に合うのなら…)

※よく「迷い線がある絵の方がうまく見えちゃう」ことがあるんだけど
webtoonの場合「カラーが基本」になることが多いので
「色を塗らなければならない」ことを考えると
「迷い線」等の余計な線や「切れた線」は
塗り方によっては塗るときに手間が増えることもあります。
(迷い線ではなく、わざと下書きのような線を残して、それが味になる作家さんも勿論居ます)

⑦人物を塗る

1:人物をべた塗り(肌色で塗っておくとあとで便利)
2:影をつける(影を別レイヤーでつけてから1を色選択してはみ出た部分は一括削除)塗ったらレイヤーオフ
3:髪と目を塗る
4:1のレイヤーをコピーして服の基本色(わしは黒に近い緑)に変えて、肌部分を削除後、服を色塗り。
5:影レイヤーをオンにして肌に濃淡をつける。

これらは1本分(4枚)一緒に作業してました。

↑はわしのレイヤー構成ですが
自分が一番楽な方法でやるのが良いと思います。

⑧背景を入れる&効果線を入れる

何度も使うシーンの背景は1枚のでかい絵を描いて、適宜必要な個所を使ったり
どんな角度にも対応できるように上下四方を書いておいて組み合わせて使ったり
ということもよくしてました。

※3Dモデリングできる方は、よく使う背景を3Dで作っておけば楽になるかもです。

書き込みすぎはごちゃごちゃして見づらくなるので
パターンや色だけ背景なしなどで適度に緩急つけて入れていきます。
(これはモノクロも同じ)

背景が効果線だけになることもあるんで
背景が入ったところで効果も入れちゃいます。

⑨セリフをキャラごとに色分け

これは読者さんから要望があったのでやったんですが
お好みで良いかと思います。
(ただ、webtoonはコマ外にセリフが配置されることが多々あります。
「これ誰のセリフ?」「口に出して言ってるの?心の中のセリフ?」とか
ページ漫画とは違う表現を工夫しないと分かりづらくなることがあります)

これが一応完成原稿になります

⑩納品(入稿)→担当さんの最終チェック→修正箇所があったらOKが出るまでする→納品(入稿)完了。

これ(①~⑩)を「最長一週間以内」でやるんですよ…
正直「一人でやる作業量じゃありません」

連載終了のおまけ漫画で「アシスタントは無しだった」と描いたんですが…
まじで7年半一人でやってましたorz
色々な理由があるけど、一番は「できてしまった」ことです。


罠の数々

アシスタントの壁

週刊連載なんて一人では無茶なので、たいていアシスタントを雇うのですが…

・雇い方が分からない
・相場が分からない
・アシスタントを雇える収入がない
・作業工程が独特でアシスタントに頼みづらい

などの壁があります。

会社の方でアシスタントを紹介したり
マッチングしたりするところもありますが
誰でも利用できるマッチングサイトもあります。
会社でのサポートがない作家さんは利用するといいかもです。

担当チェックの罠

担当さんも、出したら秒でチェックしてくれるわけじゃありません。
三日後くらいに連絡をよこされたら、ギリギリのスケジュールでやってたら
もう作画(色塗り背景含む)時間は1日しかない!とかになることも…

担当さんが「通信制限の厳しい海外に5日間出張」してたこともありました。
一応ピンチヒッターで臨時の担当さんが見てはくれたものの
説明しなければならなかったり、目の付け所が違ったりで、結果時間を浪費。ということもあり
そういうところも考えて余裕を持った作業スケジュールを組んでおかないといけないです。

やれちゃった人の罠

ただ…結果的にアシなし週刊連載を「やれた」ことにはなったものの
HPはゼロよ状態です…orz

人間、やれてしまうと、やっちゃうんですよね…

効率を考えいろいろ工夫しながらやってきた内容は紹介した通りです。
もし参考になる部分があって、お役に立てられればうれしいです!

でも「一人でやった」ところだけは
けっして参考にしないでください!(ノω・、)

日本の漫画は先生+アシスタントでの制作スタイルが多いですが
webtoon発祥の地、韓国では「ネーム」「色塗り」などは全部別な人がやる「分業」が基本スタイルです。

webtoonがまだ日本に浸透してなかった時代は「先生+アシスタント」の図式でやってましたが、だんだん「実は『分業』で作るのが前提のカラー漫画だった」ことが知れてきて、分業でのスタッフ募集や、分業での漫画制作スタジオもたくさん出来てます。
もう「webtoonは分業が基本」だと思っていいと思います。

 描かないと収入がない。
 読者さんを待たせたくない。
など、色々な気持ちがあると思いますが

心身の健康が一番大事です。

健康第一で制作してくださいネ!('-'*)


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