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【暴君女王】第10話 「歌に隠されたヒント」

これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)


 共寝係として一緒のベッドに入ったヴェネレにスカーレットが求めたのは会話だった。


ヴェネレ 「…かまいませんよ?」

アカネ (待って待って!プレイヤー置き去りなんですけど!
 私スカーレットが何考えてるのか全然わかんないよ!!)

スカーレット 「お前は…朝いつもあそこで歌っているのか?」
ヴェネレ 「はい。今は歌を禁じられていますので琴だけですが。」
スカーレット 「すまなかった。私の勘違いだ。歌うのを禁ずるのは解く。」
ヴェネレ 「歌って良いのですか?」
スカーレット 「ああ。お前の声は澄んでいてよく通る。」
ヴェネレ 「…………」

アカネ (スカーレット…なんだかカマをかけてるみたい…
 ヴェネレさんも緊張してるように見える…
 え!?ここで選択肢!?)


 1:お前は私に望まれたから城に居るのか?
 2:お前はなぜあそこで歌っているのだ?
 3:お前は城から出たいと思わないのか?


アカネ (ええー!?なにこれー!
 1はそういう設定じゃん!「はい」って言われて終わりだよ!
 2は…単純な疑問?あそこがキレイで好きなんじゃないの?
 3は…スカーレットに言われたら逃げられないからじゃん!
 逃げたらどうせ殺されるんでしょ?
 あの拷問されて殺された人たちみたいに…
 それはが怖くて…怖くて…………

 怖…いの…………?

 この人…………スカーレットをそんなに恐れてる感じがしないんだよな…
 ていうか…攻略キャラ全員…なんか…スカーレットへの恐れを感じない…
 メルクリオはツンケンしてたから不明だけど…
 どうしよう…

 3…?)


 3


スカーレット 「お前はこの城から出たいと思わないのか?」
ヴェネレ 「…なぜそうお思いに…?」
スカーレット 「お前は歌っていた『囚われているのはどちらだ』と」

アカネ (ああー!そういう意味だったの!?)

ヴェネレ 「(ため息)スカーレット様…私は居たいから居るのです。
 だってその気になれば…あなたの手を振りほどくなど簡単ですから…」


 ヴェネレはスカーレットを押し倒す


アカネ (うお!強制FPSに入った!)

ヴェネレ 「私は共寝係です。だからその時にこうすれば…」


 ヴェネレはスカーレットの首を絞める。


スカーレット 「う!ぐ…………」


 寝巻でベッドに入ったスカーレットには武器はない。
 男性の力にはかなわない。


アカネ (ぐるじいーーーーーー!!!絞殺やめえええ!
 2回目!2回目なのよ!窒息死は!!!
 マルテの時にやってんのよ!!)

ヴェネレ 「これでも私、力は強いんです…私は私の望みを歌ってはいません…
 その程度の想像力しかもっていらっしゃらないのなら…
 残念です…………スカーレット様…いいえ…暴君女王…」

アカネ (あぐう…………意識が…………)


 「YOU ARE DEAD」




 気が付くとヴェネレが部屋に入ってくるところ。


アカネ (うー…死ぬほど苦しい…………っていうか実際殺されてるんだけど
 体も心も準備が出来てるっていうか…これが慣れなのかな…
 死ぬのに慣れるって何なの…………

 『その程度の想像力しかもっていない』か…
 囚われてるのはヴェネレ君もで
 自分の今の境遇を嘆いてる歌だって意味でしっくり来たんだけどな…
 じゃあもう素直に質問選択にするか…)


 2:お前はなぜあそこで歌っているのだ?


スカーレット 「お前はなぜあそこで歌っているのだ?」
ヴェネレ 「…………あそこは…………通気口が地下牢に通じているんです…………」
スカーレット 「!?貴様!まさかプリマヴェーラのために歌っていたのか!?」
ヴェネレ 「はい…」

アカネ (マジ!?ヴェネレさんってもうプリマヴェーラ派なの!?)

スカーレット 「この…!」
ヴェネレ 「あなたが間違えたように…間違えるような歌詞で…」
スカーレット 「…………!」

アカネ (? 何この表情…ヴェネレさんは密かに怒ってる…スカーレットの表情は…………狼狽?)

スカーレット 「お前…直接言われたのか…?」
ヴェネレ 「まさか…おつきの方に…哀れな王女のために密かにと…」
スカーレット 「それで…同情したから?」
ヴェネレ 「…そう思いますか?」

アカネ (違う…!本当に同情してたら怒ったりしない!)


 1:同情する以外にないだろ
 2:プリマヴェーラを好きなのか?
 3:だから『囚われているのはどちらだ』と歌ったのか…?


アカネ (え…?3は何?
 1は想像力の欠如だ。また絞殺されるだけ。
 2はわかる。好きなのに自分はスカーレットを抱く係にされてる。怒るのもわかる。
 でも…抱きたいと言ったときの彼は…怒ってなかった…
 3!…3は何?)


 アカネは恐る恐る押す


 3


スカーレット 「だから『囚われているのはどちらだ』と歌ったのか…?」
ヴェネレ 「…………」
スカーレット 「…そうか…お前は知っているのだな…」

アカネ (!? 何を!?)

スカーレット 「安心しろ。ここは声が外に漏れない。私の喘ぎ声など聞かせたくないからな。
 侍女を呼ぶときは侍女室に通じている紐を引いてベルを鳴らす。」
ヴェネレ 「スカーレット様…私の故郷に伝わる歌を歌わせてくださいますか?」
スカーレット 「琴を取りに行かせるか?」
ヴェネレ 「いいえ、これは子守唄。声だけで十分です。」
スカーレット 「いいだろう」


 ヴェネレは優しく小さな声で歌う。


(歌) 人はみな神のしもべ 人はみな神の手の上
 その意志(こころ)に逆らえぬ その運命(さだめ)に抗えぬ
 だがそれは一面 手には甲もある
 闇の中で夢を見よ 悪い夢でも恐れるな
 神を忘れねば その甲を知るだろう
 守護天使よ われらを守りたまえ
 守護天使よ われらを導きたまえ
 神を忘れねば 守護天使が舞うだろう
 守護天使よ われらを守りたまえ
 守護天使よ われらを導きたまえ
 人が神の甲に導かれし時 守護天使は役目を終える
 守護天使の導きの元 人は必ず幸せを手に入れる


アカネ (信仰の歌…でも彼の歌は…『ヒント』だ…!
 人=キャラクター 守護天使=プレイヤー
 なら神は…………開発者…………

 『悪い夢』…ナイトメア
 『手の甲を知る』…裏面…
 アナザーストーリーじゃない…
 ナイトメアモードは…………物語の真相がわかるシナリオ…!?

 「ゲームあるある」だ…
 一度完全クリアすると『真エンド』が解放されるパターン。

 大抵かなり難易度が高くなる。
 確かにこの最高難易度のナイトメアモードが解放された。
 これはハヤトさんに聞いた時からわかってた「ゲームあるある」だと思ってた…
 それだけじゃないんだ…

 このモードは『真エンド』に繋がる!

 確かに色んなゲームを…相当やりこんでるゲーマーにしかわからないかもしれない…
 だからこそ、この歌は…
 私にはそうとしか読めない…!)

スカーレット 「…信仰深い故郷だったのだな…」
ヴェネレ 「ええ…そうですね…人は神を感じることしかできません。
 その御手を人に繋げられるのは…守護天使様だけです。」
スカーレット 「…今の歌は…私の守護天使に歌ったのだな…」
ヴェネレ 「…今、あなたについている守護天使を信じてください。
 あなたの守護天使はとても強い…
 今まで感じた守護天使の中でも最も強い…」
スカーレット 「…守護天使の導きがあれば…人は幸せになれるのか…?」
ヴェネレ 「…これはあくまで…故郷に伝わる子守唄です。
 でもきっと…なれると思っています。」

アカネ (…………
 『人が神の甲に導かれし時 守護天使は役目を終える』
 これが真エンドを迎えた天使。
 役目を終える…………もう、守らなくていい
 つまり…………この世界から…抜け出せる…………?)


 スカーレットがヴェネレの首に腕を絡ませる。


スカーレット 「…お前は私の守護天使を感じたいのだろう?
 抱くがいい。だが、私のことも感じてくれるか?」
ヴェネレ 「…もちろん…」


 アカネの視点が強制的にスカーレットの視点になる


アカネ (わあ!強制FPS!
 そうだった…寝床で愛し合う時はTPSで覗きはしたくないなって思ってたけど
 強制的にFPSになるのか…

 ま、まあこれで良いんだけど…
 このシステムもヴェネレさんは分かってるのかな…
 なんとなくそう感じるってだけなのかな…?

 ていうか…この人…すごいヒント集だ…
 まだ確証はないけど…おかげで当面の目標が見つかった。)


 終わってスカーレットの髪をなでるヴェネレはスカーレットを通してアカネを見ているようだった。


アカネ (やってやる…ゲーマーの誇りにかけて
 『真エンド』を見るんだ…!)


 とりあえずここまで!
 物語はまだまだ続きます(*'ー')
 また書き溜めたら掲載いたします(*vωv)





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