見出し画像

TOEICを2ヶ月で640→825点に伸ばした今書き残しておきたいこと

先日、5月末に受けたTOEIC L&Rのスコアが届いた。結果は、825点。前回受験した2023年9月の640点と比べると、+185点という結果だった。

就職・転職活動では、TOEIC800点以上あると「ビジネスでもある程度英語を使える人」のように一定の評価をもらえることも多いらしい。ただし、弱点や伸ばさなきゃならない部分は多々あるし、上を見れば900点台〜満点への道のりは長く険しい。まだまだ発展途上のスコアとも言える。ただ、このnoteにおいては、825点という点数が世間でどう評価されるかはあまり重要ではない。
というのも、今回初めてTOEICで800点台を取った私にとっては、誰がなんと言おうと、「やっっったーーー!!!やりました!!!私、今回、かなり頑張ったよねーーー!!!」と、心の中で大きくガッツポーズをして小躍りしたくなるくらいの点数だったのだ。

今年の3月から、生まれて初めて本格的にTOEIC L&R対策に取り組んで、自分なりの努力が目に見える結果に繋がった。その喜びを噛み締めながら、2ヶ月間の学習を振り返り、その中で学んだことや、今感じていることを忘れないように、ここに書き残しておこうと思う。

私の英語学習略歴

はじめに、私の英語学習歴を簡単に整理してみる。

・生まれも育ちも日本
・留学経験なし
・「英語教育」を受けたのは中学一年生〜大学一年生
・大学受験期が英語力のピーク(私大人文系学部)
・大学で英語の科目を履修したのは一年次のみ
・前職で英語を使ったのは、Web開発に関する英文の技術書や関連ニュースを読むときのみ
・現職では英語を使う機会は皆無
・約2年前から時々オンライン英会話を受講している

大学受験以降は英語を使う機会はほぼなくなり、英語の基礎は理解しているものの、自由自在に使いこなせるほどでもない。ゆっくりであれば日常会話はなんとかできるけど、基本的に英会話に自信はなくて、例えば急に英語で道を聞かれたりすると、焦ってしまって全然スマートに案内できない。

趣味で、洋画を観たり、洋楽を聴いたりするのは好き。海外旅行も大好き!けれど、昔から間違った英語を話して自分の考えがうまく伝わらないんじゃないか……という恐怖心や緊張感が強くて、海外へ行っても、なかなか現地の人と積極的にコミュニケーションを取ることはできなかった。「もっと英語を話せたら、きっと色んな世界が見えて楽しいのになぁ……」と、密かに思い続けながら……。

それでもやっぱりどうにか英語を話せるようになれないかと、数年前にオンライン英会話のレッスンを受け始め、ネイティブの講師との会話を繰り返すうちに、英会話に対する心的ハードルは若干下がったものの、流暢に話せるようになるには程遠い状態で躓いていた。

そんな私が今回、改めて本気のTOEIC対策に取り組むことにした経緯やその成果、2ヶ月の学習を通して今感じていることを紹介していきたい。

越えられない「700点の壁」

社会人5年目の頃。職場での次の昇格手段の一つに「TOEIC900点以上を取得する」というものがあった。何度か試験に申し込みはしたものの、当時は朝から晩まで日々の業務をこなすのが精一杯で、「とりあえず今の自分の英語力を把握できればいいか」とか「(TOEICスコア取得以外にも条件があるので)すぐに昇格できるわけじゃないんだし、焦ることないよね」とか、それっぽい言い訳を並べて、まともな対策もせず試験当日を迎えることがほとんどだった。試験直前に本屋で「売れてます!」とポップがついた対策本を買って、ぱらぱらと眺めて、ポッドキャストや映画で、少しだけ英語に触れる機会を増やして、とりあえず試験会場に行って、問題を解く。その繰り返し。

当然のことながら、そんなことではスコアが伸びるはずもなく、何度受けても600点台から抜け出すことができなかった。時々、前回比で+50点くらいは取れることがあっても、次受けると今度は-70点になったりして、伸びもしないし、安定もしない。次第に、「英語力を測る手段として、本当にTOEICって有効なのかな?」なんて勝手な疑念を抱いたりもして、とにかく言い訳めいたことばかり考えていた。

私はどうにも以前から、「TOEICで高得点を取るため」には頑張ることができなかった。昇格要件であるとはいえ、小手先のTOEIC用のテクニックを磨いてスコアを上げても意味がないと思ってしまう。多分、私は、TOEICで高得点が欲しかったわけではなくて、言語を使いこなせる確かな力を身につけたかったのだ。
けれど、本屋に行けばTOEICの対策本は数え切れないほどの種類が存在していて、一体何を信じてどう勉強するのがいいのか、確かな使える英語力を身につけるってどうすればいいのか、その方法が分からなかった。それに、そもそも、TOEICの勉強をすることと、英語が使えるようになることは、本当に繋がっているのだろうか?という疑念も、邪魔をした。
日常生活にそこまで時間的余裕があるわけでもないのだから、暗闇の中を手探りで歩くような感覚で、目的もよく分からないまま勉強を続ける気にはどうにもなれず、いつまでも試験に対してどこか投げやりになっていたように思う。

なぜ、TOEIC?

その後、私は結局、「700点の壁」を越えられないまま、紆余曲折あって前職を辞めた。昇格要件の話がなくなれば、私にとってTOEICを受けるそれっぽい理由はなくなったも同然だった。

では、なぜ、今回、改めてTOEIC対策に取り組むことにしたのか。

消せない想い

私の中には、ずっと、自分の本心と向き合わずに、大切なことを諦めてばかりの自分を許せない気持ちがあった。
将来の夢とか、進路選択とか、就職活動とか。そういう自分にとって大事なことを選ぶとき、私は幼い頃からいつも、本当に好きなこと・興味のあることからは目を逸らして、周りの人間の助言や意見を言い訳に、難しそうな道を避け、私でも少し頑張れば進んでいけそう……と思える程度の無難な道ばかりを選んでしまう癖があった。自分自身の価値基準や本心と向き合わず、他人や社会的な価値基準に頼って物事を判断しているうちに、いつの間にか、自分にとっては居心地の悪い場所にすっかり迷い込んでしまっていた。そのことに気づいたのは、恥ずかしながら、20代も後半になった頃のことだった。

自分で自分の気持ちを大切にしてこなかった。

その事実が、どうにも消せない後ろめたさや劣等感、自己嫌悪のような負の感情になって、心の奥底の方でぐるぐると渦巻き始めた。

そして、そういう負の感情に心が飲み込まれたのが先か、身体症状が出たのが先か、記憶は曖昧なのだけれど、私は30歳を目前にして、一度、身体を壊してしまい、今までのように仕事をこなすことも、一人で日常生活を送ることもままならないような状態に陥った。

数年を経て、ようやく症状が回復傾向に向かい始めた頃、「弱くて言い訳ばかりの自分のままじゃ、どんどん自分を嫌いになる……」という心の声を無視できなくなっていた私は、自分を少しでも好きになれるように、一度きりの人生でこれ以上後悔を重ねないように、「もうこれからは自分が心からやってみたいと思うことに真正面から挑戦しよう」と心に決めた。そして、自分のやりたいことを改めて考え、自分の気持ちに正直になって、幼い頃から密かに憧れ続けていた海外留学を、夢のままで終わらせないことを決意した。

伴走者

それから私は、留学エージェントと相談しながら、留学先を決め、来年1月出国を目標に準備を進めることにした。

私が選んだ留学エージェントは、出国までの準備期間中、英語力底上げのためのサポートをしてくれるとのことだった。留学先では語学学校に通う予定だけれど、現地での生活を120%楽しむためにも、出国までに可能な限りレベルアップしておきたい。そう思い、私は早速「英語学習コーチング」を申し込んだ。

やるべきことが明確な人や、自分を律してこつこつ努力を続けられる人にとっては必要ないものかもしれない。けれど、私はそこまでできた人間ではない自覚があったので、確実に英語力を伸ばすためにも、迷った時に頼れる存在、目標に向かって伴走してくれる存在を持てることは、大変ありがたかった。

コーチングは担任制で、月に一回のペースでオンラインで面談を実施する。その都度、アドバイザーの方が小テスト等を通して弱点を見つけ出し、1ヶ月の学習方法や学習ペースについてアドバイスをくれる、という仕組みだ。

ちなみに、コーチング開始前のアンケートの『出国までの目標』という項目には、「TOEICで○○○点を取りたい」のような資格のスコアの目標ではなく、「留学先の日常生活で使える会話力の基礎を身につけておきたい」という、かなり抽象的な目標を記入して提出した。「TOEICで○○○点取りたい」と書くのは、自分の気持ちに嘘をつくようで、せっかくならずっと知りたかった「使える英語力の身につけ方」を教えて貰いたかったのだ。

そうして迎えた初面談の日。私の担任アドバイザーは私の意を汲んでか、何より先に、『第二言語習得理論』の話をしてくれた。

『第二言語習得理論』と「現在地」

人が第二言語を習得する際の脳内メカニズムを科学的に解明し、効果的な学習方法を提示する『第二言語習得理論(Second Language Acquisition)』。この理論について、アドバイザーの方から受けた説明を、私なりに要約すると以下のような内容になる。

第二言語の習得には、まず、『語彙』と『文法』のデータベース強化による基礎づくりが必要不可欠となる。この基礎がなければ、リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングのどれも成り立たない。

そして、日本語話者が英語で会話をする際は、身につけた基礎のデータベースをもとに、脳内では以下のようなことが行われるという。

【リスニング】
①音声認識:聞こえた音を英単語として認識する
 ↓
②意味理解:①の英文の意味を理解する
 ↓
【スピーキング】
③思考:②を受けて言いたいことを日本語で構成する
 ↓
④文章化:③の日本語を英文化する
 ↓
⑤発話:④の英文を発音する
 ↓
①〜⑤の繰り返し
−−−−−−−−−−−−−−−−
【基礎】語彙・文法
①〜⑤の各工程で参照するデータベース

要は、語彙と文法、そして上記①〜⑤の能力を一つ一つ伸ばしていくことで、英語を効率よく効果的に身につけることができる、ということらしい。
※「第二言語習得理論」で検索すると、専門書やネット記事等、より分かりやすく丁寧な情報がたくさん出てくるので、ぜひ調べてみてください。

この理論の説明の後、私は現時点での実力を測るための小テストを受けた。そして、私はまだ「①音声認識」と「②意味理解」の力を伸ばすべき段階にある、という結果が出た。

「この理論を踏まえて、まずは、基礎となる語彙と文法を強化しつつ、『①音声認識』と『②意味理解』の能力を鍛えるところから始めましょう。TOEIC L&Rテストの対策を通して、これらの力は強化できます。そして、リスニング・リーディングをある程度伸ばしてから、スピーキング強化に進んでいきませんか?」

アドバイザーの方の理論に基づいた学習プランの提案を聞いて、私は初めてTOEIC L&Rテストの意義を本当の意味で理解できた気がしたし、自分の「現在地」を知ったことで確かな納得感を持って勉強意欲を高めることができた

そういうわけで、私は、英会話に必要となる、

  • 語彙

  • 文法

  • 音声認識

  • 意味理解

の大きく4つの力を強化するため、TOEIC L&Rテストの対策に取り組むことを決めたのである。

【別記事】理論に基づくTOEIC L&R対策勉強法

試験までの2ヶ月間、私が実際に取り組んだ学習方法をまとめてみました。(長くなってしまったので、別記事に分けます)興味のある方はぜひ参考にしてみてください!

※この学習プランは、2024年3月時点の私個人のレベルに合わせたもののため、全ての方にとってこれらの勉強方法・教材が適しているとは限りません。ご自身の「現在地」に合わせて学習するのが最も効果的だと思いますので、あくまでも参考程度にご覧ください。

碧落一洗

ずっと、自分と向き合うことから逃げてばかりだった。加えて、数年前に身体を壊してからは、何かしようにも思うように身動きが取れなくて、この先、私はもう何も頑張れなくなってしまったのではないかと自信を失って、そんな自分のことがどんどん嫌いになっていた。
終わらない嵐の中をひとり彷徨っているような気分だった。

ただ、どう考えても、ずっとこのままでは嫌だった。私はまだ自分で自分を諦めたくなかったし、少しでも自分を好きだと思えるようになりたかった。

だからこそ、今回のTOEICの結果を見たとき、スコアが前回から200点近く上がったことも勿論嬉しかったけれど、それ以上に、「私、しっかりこつこつ努力を積み重ねられたよね!」と、自分で自分を認められたことが何よりも嬉しかった。まずは2ヶ月、一つの目標に向かって確かに頑張り抜くことができた。この事実だけでも、私にはかなり大きなこと。「私だって、まだこれからも何かを頑張ることはできる」と、「迷い込んだ場所から、また歩き始めることができたんだ」と、少しだけ自信を取り戻すことができて、そんな自分を以前より少しだけ好きになれた。

これから先も、きっと、道に迷うことはあると思う。躓くこともあるかもしれない。だけど、そんな時が来たとしても、私はなんとか立ち上がることができる気がしている。そうして進んで行った先に、どんな景色が待っているのか。行けるところまで行って、自分のこの目で確かめたい。

いつの間にか、激しく振り続いていた雨は上がり、明るく澄み切った空が広がっていた。

2024.07.06

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?