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ロンググッドバイ 感想

皆さんこんにちはSADです 


今回は ロバートアルトマン監督の
ロンググッドバイを最近見たので
語っていきたいと思います

©ロング・グッドバイ

一味違ったフィリップマーロウ?

本作は レイモンドチャンドラー
想像したキャラクター 

フィリップマーロウが登場する
長いお別れ という小説の映画化作品
です

フィリップマーロウといえば

私立探偵やハードボイルド小説の
アイコン的
な存在と個人的に思って
いるのですが

私が想像しているフィリップ マーロウ
はくたびれたコートと帽子を身につけ

くたびれた顔に紫煙をくゆらせながら
バーボンを嗜むといったような印象
です


しかし
本作は舞台が原作小説の設定よりも
後の1970年代に移っておりますし

主役のマーロウもタバコこそ
吸っておりますが コートも帽子も
身につけておらず 

頭はもじゃもじゃのすらっとした男
です

この大胆な設定の改変に私は驚きま
したが結果的には良い方向にいって
るような気がします

マーロウは人間ではない?

本作のフィリップ マーロウは集合住宅
の一番高いところにある専用エレベー
ター付きの部屋に住んでいて

買い物をする時は エレベーター
でわざわざ下に行って出かけていきます

マーロウのお隣さんはヒッピーの
女の子たちで彼女たちはいつもほと
んど裸みたいな状態でヨガをしている
のですが


マーロウはそれをいかれた女たちだ
言ってあまり性的な目で見てるような
気配がありません

また 作中でもマーロウは食事をして
いるシーンが極端に少なく

タバコを主食にしているかのように
常に口にタバコを咥えています

これは霞を食べて生きている仙人
という伝説があるように煙を吸って
生きているようでもあります

少し話はそれますが 横溝正史という
小説家が作った金田一耕助という
キャラクターがいます

©犬神家の一族

その金田一耕助を主人公にした
犬神家の一族(1976)という映画作品
があるのですが

その犬神家の監督市川崑は金田一を
人間ではなく天使みたいな存在として
演出したと語っています

金田一耕助は決して人間の世界に深入
りすることはなく常にちょっと離れた
位置にいて

彼は
事件を解決するという特殊能力を使い
人間界に影響を及ぼすことはできます

事件が解決するとまたどこかへ去って
行ってしまいます

話を戻して

本作のフィリップ マーロウはいつもは
普通の人達が暮らしているより上の
世界に住んでおり

文字通り
人々を見下ろしている立場にいます

そして 時折、下界に降りてきて
私立探偵という能力を使い人間界に
関与します

彼もまた普通の人とは少し違う立ち
位置にいるのかもしれません

私はロバートアルトマンの
フィリップマーロウと 

市川崑の金田一耕助に何か似たもの
を感じました

男は依存するものが必要である

私は男だから言えることでもあり
ますが

男というものはそんなに強くもないし
情けない生き物だとつくづく思うこと
があります

そんな男がこの社会で生きていくため
には何か依存するものが必要です

それはタバコやお酒、甘いもの、女

あるいは
人によっては 地位だったりお金だった
り流行りの服だったり

かっこいい髪型だったり整形して
手に入れた顔だったりするわけです

そういったもので身を固めないと自分
というものを取り繕えないものなのだ
と自分は思います

本作のマーロウはほとんど常に
タバコを吸っています

今吸ってるタバコが切れるとすぐに
それを消しもう1本の新しいタバコに
火をつける

私も今まで何本かフィリップマーロウ
が出てくる作品を見ておりますが

 ここまでタバコを吸ってるマーロウは
ちょっと珍しいような気がします

本作のマーロウにとっての依存する
ものはタバコなのだと私は思います

後世に多大な影響を与えた作品

本作アルトマン版のロンググッドバイ
はその後のフィクション作品に大きな
影響を与えた作品と思われます

特に日本の俳優の松田優作も本作
がお気に入りで

このロンググッドバイをドラマで
やろうとしたのが探偵物語だと思い
ます

探偵物語の中で松田優作はもじゃもじゃ頭の飄々とした

私立探偵を演じていますがその原型
はロンググッドバイにあると言っても
いいでしょう

©探偵物語

また
私が好きなアニメ作品で
カウボーイビバップという作品があ
ります

主人公の一人スパイクスピーゲル
個人的な印象は ブルースリー
松田優作を合わせたようなキャラク
ターで

もっさりとした髪型に手足の長い
フォルム

普段はちょっと気だる気な感じな
のですが銃の扱いと格闘戦は滅法
強いという設定です

画像を見ていただければわかると思い
ますが探偵物語の工藤俊作とちょっと
似ていると思います

©カウボーイビバップ/サンライズ

また さらに違う作品として
週刊少年ジャンプで連載していた
銀魂 という作品があります

その中の主人公は坂田銀時という男
で通称 銀さんと呼ばれています

この銀さんも天然パーマのやる気の
ない目をした一見そんなに強そうに
見えない男ですが

実は剣の腕が立ち、キメるところは決める男なのです

©銀魂/サンライズ

そして銀さんは"よろずや"いわゆる
便利屋をやっていて

様々な事件に巻き込まれていくという
話なのですが

この依頼を受けて 巻き込まれる形式
の作品というのは元を辿れば探偵小説
から のアイデアがあるのではないかと
思っています

今言ったのは全て私の憶測で話して
いますが製作者自身も意図的に真似
したというよりは 頭の片隅に 

アイデアが残っていたのではないかと
私は思います

そう考えるとこのロンググッドバイは
非常に影響力のあった作品だと言えると思います

タイトルの意味

さて このタイトルのロンググッドバイ

長いお別れの意味ですが

映画のラスト

マーロウは死んだと思われていた
友人 レノックスの元へ向かいます

彼はマーロウを利用して
自分の死を偽装し現在は悠々とした
生活を送っていました

そこで 以前の友人と対峙した
マーロウはいきなりレノックスを
射殺します

しかし
これは殺したのではなく一時的な
お別れで

長いお別れということはまたいつか
会うという意味が含まれているように
思います

きっと
それは天国か あるいは地獄か
そこでまたマーロウは レノックスと
会うのかもしれません

そう個人的に解釈すると 

このタイトルは 何とも 粋だなあと
思います(使い方が間違っているかも
しれませんが)

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