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私の土曜日は朝陽を浴びることから始まる。

私の土曜日は朝陽を浴びることから始まる。

まだ家族も寝静まっている頃、もそもそと布団から這い出し、顔を洗って歯を磨く。そしてコートを羽織り、カメラを持って屋上に攀じ登る。

まだ朝陽は顔を出していない。風は昨晩風呂上がりに食べたジェラートのように冷たく、空はストロベリーとヴァニラを混ぜ込んだような淡い色調で満たされている。

私は「朝陽よ出でよ」と言わんばかりに太陽礼拝を行う。睡眠により硬直した筋肉と神経が解かれていくのを感じる。やがて東に見える街の隙間から朝陽が昇る。辺りは眩暈がするほどの茜色に染まり、私はおもむろにカメラを手に取ってファインダーを覗く。

目の前に出現した幾億もの現象を無心で撮影する。そして太陽に合掌し、一日の始まりに感謝するとともに屋上から降りて布団に潜り込み、もう一度寝る。

サポート頂きますと世界がまた一歩平和に近づきます。