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大人のかっこいいあいさつ

あいさつが苦手だ。

原因はわかっている。オタクなひとたちは共感してくれると思うのだけれど、情報を交換する以外に会話の必要性がよくわからないのだ。だから、あんまりやらないし、そして、やらないとうまくならない。

とくにパーティーはつらい。初めて顔を合わせたひとにあいさつをして、なんとなく話を広げるのはとてもむずかしい。たまに、やるべきだよなと思って出かけてみるが、すぐに「ポツーン」って感じになるので、最近はあまり行かなくなった。

情報を交換するための「意味がある会話」はできるのだから、別にそれでいいんじゃないかと開き直っていたこともある。しかし、よくよく考えると、それはおかしい。

太古の昔、対話という能力が人間に身についたのは、厳しい世界を生き抜くために、仲間を増やす必要があったからだろう。そう考えると、他者と仲良くすることこそに会話の本質があるはずだ。情報交換にまつわることは、二次的なものだろう。


先日、尊敬する経営者の会社の納会に参加させてもらった。

冒頭で、そのひとが、社員に向けてあいさつをした。内容はこうだ。

・いまの社会の状況について。
・そのなかでの会社の位置づけ。
・そこで1年間やってきたみんなの仕事の成果について。
・それをとてもうれしく思っていること。

話は終わり、みんなで食事をして、イベントをやって解散になった。会場はあたたかい雰囲気につつまれていて、ぼくはすっかりしびれていた。

なるほど、あいさつってこういうものなんだ。リーダーはこれをやるのが仕事だな。

その経営者は、ほんとうは、あいさつなんて、照れくさくて好きではないタイプのひとだと思う。でも、彼がなんでそんな話をしているかというと、それが社員みんなのため、だからだ。そのあいさつは、みんなのこれまでと現在地をちゃんと確認して、そこに感謝をしつつ、来年について考えるきっかけをつくっている。

大人ってこうじゃなきゃな。かっこいいなあ。ひとびとの居場所をつくるのが大人のやることで、あいさつにはそんな力さえあるのか。

ということで、ぼくの来年の課題は、あいさつ、にしようと思います。

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。cakesやnoteにかかわってくださっている、クリエイターや読者のみなさんにも本当にお世話になりました。

そして社員のみんな、1年間おつかれさまでした。ありがとう。みんなのおかげで、今年はかなりおもしろい年でしたが、来年はさらに激しくおもしろい年にしたいと思います。がんばります。

どうぞ、みなさん、よいお年を。

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