詩を書くことの意味と忘却
はじめまして。
私は5歳の頃ピアノをはじめて、音と戯れて大きくなった。いつからか、心の中でもメロディは鳴り続け言葉にならないもどかしさや、どうしようもない苦しさを感じるようになった。
その頃の私は、気持ちを言葉にする術を持たなかったため、貪るように読んだ本と音楽と映画で心の乾きを潤すようになった。
しかし、それは結局、自分の感情に似た物への摺り替えに過ぎず満たされるというよりは、枯渇してさらに外へ外へと感情を埋める作業に没頭した。そして、同時に忘れてゆく...というあきらめの手段を得た。
人は忘れてゆく。
どんなに心が躍る時間も、いずれ記憶という言葉のかけらになって溶けて、消えてゆく。時には、都合よく形を歪め修正されたまま、新しい記憶が過去の懐かしさを纏って私の中をシェアしてゆく。
人は忘れてゆくのだ。
たどり着く場所は、人それぞれだと思うけれど。私は私を忘れてきた。その後悔を、私はずっと描きたいと思っていた。
詩を書きはじめたのは、そんな理由だ。私を私が呼び起こし、忘れてしまった記憶をもう一度言葉にしたい。
私は私をわすれたくない。
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