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もしアドラーが上司だったらを聞いて、気持ちが楽になる

1.ストーリー


 広告代理店に営業マンとして働く主人公の「りょう」が、アメリカでアドラー心理学を学んだ上司の「ドラさん」と出会い、アドラー心理学を実践しながら成長していくストーリーです.恋心を抱く同僚の「リカ」やライバルとして登場する「ツヨシ」、アドラー心理学をすでに実践している「ユウ」など、仕事での人間関係の中で、「りょう」は悩んだり、落ち込んだり、迷ったりと、さまざまな葛藤にぶつかります.そこで、上司である「ドラさん」が、アドラー心理学の考え方を説きながら、「りょう」にさまざまな宿題を与えていきます.「ドラさん」から与えられた宿題を実践する中で、徐々にもんもんとした仕事や人間関係から解放され、生き生きと仕事を楽しめるようになっていくというストーリーにです.

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2.アドラー心理学とは

 19世紀生まれのユダヤ系オーストリア人心理学者、アルフレッド・アドラーが提唱した心理学です.欧米では「個人心理学」と呼ばれています.
 アドラー心理学の基本的な考え方(理論)の概略があります.

・人間の行動には目的がある(目的論)

・人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論)

・人間は、自分流の主観的な意味づけを通じて物事を把握する(認知論)

・人間のあらゆる行動は、対人関係である(対人関係論)

・人間は、自分の行動を自分で決められる(自己決定生活)

・人間の生き方には、その人特有のスタイルがある(ライフ・スタイル)

 アドラーの心理学では、技法面での「勇気づけ」を重視します.本書の「もしアドラーが上司だったら」の中においても、上司の「ドラさん」が、「りょう」に対して常に「勇気づけ」の姿勢で関わっています.
 またアドラー心理学では「共同体感覚」という価値観を大切にしています.「共同対感覚」とは所属感や共感・信頼感・貢献感などを総称したもので、精神的なバロメーターと捉えています.つまり自分自身を健康的に保つためには、この共同体感覚を養っていく必要があるのです.

3.感想

 わたしがアドラー心理学と出会ったのは「嫌われる勇気」著者:岸見一郎の本を読んでからです.一番印象的な考え方は「承認欲求の否定」でした.つまり、他人に認められたい、他人の評価を高めたいなどという他者視点の生き方ではなく、自分視点の人生を生きる必要があるということでした.わたし自身周りの目や評価を気にしやすい性格でしたので、自分の承認欲求に意識してみると、意外にもたくさんの承認欲求があるのだと気づかされました.
 今回の「もしアドラーが上司だったら」においても、この承認欲求や、目的論、課題の分離という考え方を、わかりやすくストーリーにしてくれています.
 実生活や仕事で抱える、人間関係や仕事に対する考え方などが整理できて、スッキリした気持ちで、生活が送れるような「勇気」を与えられる一冊です.
 今回Amazonオーディブルでの「もしアドラーが上司だったら」のナレーターが多田啓太さんでしたが、とても聞きやすい声でしたし、セリフの場面では登場人物像が想像できるものでした.「ドラさん」のウィンクするシーンや、「ビンゴ!」という古いセリフ、「リカ」がリョウに抱きつくシーンなどもあり、何故か恥ずかしくて1人でニヤけてしまう場面もところどころにありますので、楽しく聞くことができました.

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