見出し画像

チョコエッセイ🍫天邪鬼の恋心

ストレートに気持ちを表現するのが得意ではない。

それに、表現に熱を込めるのも苦手だ。

否定と拒絶を伝えることだけは得意なのに。

不器用で、天邪鬼。思春期男子が、見てくれだけ大きくなったような私は、いい年こいて、今まで意中の相手にまともに思いを伝えたことが無かった。

そんな私に、救世主が現れた。

ル・ショコラ・アラン・デュカスのペピクール。

角張った幾何学的なハートのチョコレート。

真っ赤で、つるんとしている、いかにもなかわいらしいハートのチョコレートボンボンは、自分で食べる分には喜んで買うけれど、人に渡すには気恥しさが勝ってしまう。

私には似合わないもの、かわいいハートなんて。

もしも箱までかわいかったらもう、それを人に渡すために買うなんて考えただけで、ショーケースの前で耳が熱くなってしまいそう。

なんて思っていた私が、ある時デパートで出会ったのが、ペピクールだった。

初めは、ハートなのか疑った。

でも、クールって名前だもの、ハートだよなって納得して記憶に残った。

外箱もかっこよくて、見惚れた。

初見では手を出せなかったけど。

3000円を超えるチョコレートだったから。

けれどずっと、記憶の片隅に残り続けて、バレンタインを過ぎても、チョコを買うのを躊躇してしまう真夏でも、また寒くなり始めた時期になっても、ずっとあのカクカクとしたハートが頭のどこかを占領していた。

だから買ったの。

お店で店員さんが、パッションフルーツを使っているものが入っていることを教えてくれて、情熱に欠ける私が、助けてもらうためにこんなに合うチョコってある?なんて思った。

まあ今年は、全部私の口に入ったんだけれどね。

もしもこの先思いを伝えたい人ができたら、その時は力を貸してください。

きっとチョコレートも溶かすくらいのアツい気持ちを、思い切りぶつけたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?