見出し画像

デコトラの歴史

戦後の高度経済成長期、成長に伴って水産商品輸送用のトラック輸送の需要は拡大した。

だが北の漁港で取れた魚を運ぶトラックは、海風が強いところや、凍結防止剤が撒いてあるところなどをよく通ったため、よく錆びた。
そのため、寒冷地の八戸や石巻などではステンレス板で補強し、錆びないように工夫をしていた。

当時のトラックの運ちゃんは荒くれ者。アウトローな者たちも多い。
彼らは補強ついでにトラックをデコっていった。

こうしてできたのがデコトラだ。

彼らは他人と被るのを嫌う。故に同業者はデコり方を競った。
自分の自己肯定感をトラックに託した。

もはや文化の域にまで達したデコトラは、高速道路で衝撃の出会いをする。
相手は、『愛川欽也』だ。

愛川欽也はデコトラに惚れた。その生き様に。
彼はそのまま東映に企画を持ち込み、『映画・トラック野郎』が生まれることになる。
トラック野郎はそのアウトローさが人気を呼び、続編が次々に作られシリーズ化していく。シリーズが人気になることにより、デコトラには更に活気が溢れ、より文化として洗練されていく。

トラック野郎シリーズ第一弾 愛川欽也と菅原文太のアウトローっぷりに当時の人々は魅了された。

だが、快く思わなかった者達もいた。その代表はもちろん、『警察』だ。

アウトロー映画という関係上、警察は悪者に描かれる。
更にアウトローが主人公なので交通違反を助長するような内容となる。
まあ、警察は嫌うわな。といった状態だ。

その後もデコトラ愛好家たちはイベントを開くなど精力的に活動を行っていたが、折しもバブル崩壊や排ガス規制等で苦境に立たされることになる。
無駄なものを許容する時代の終焉である。
更に、コンプライアンスが叫ばれる昨今、自主規制などで数が激減してしまった。

現代では、かつてのようなギンギラギンな出で立ちではなくなったが、アニメがデザインされていたり、故郷の風景が描かれていたりと、法律やルールを守りながらも独自の進化を遂げている。

時代が変わればデコトラも変わる。オタク文化とヤンキー文化が融合し、新たな時代へと突入した。
今度どのような変化をするのか注目したいところだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?