【詩】或冬の午後の詩
光る水辺を凍えながら歩いた
この場所で皆が水浴びする夏を想い
二人は眩しく笑った
初夏のように若い二人は
底無しに広い冬空へ
やわらかな耀きを放ち
来たるべき苦しみなど総て
焼き尽くしてしまった
それは誰の目にもあきらかだった
なぜに二人は穏やかな時代を
喪わなければならなかったの?
誰も知らなかった。
このとき二人は互いの両手を確く握り
互いの耀きで互いの姿を
眼に焼き付けておくべきだった
有り余る謐けさのなか
二人には小鳥の囀りしか聞こえていなかった
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