#11 日本人の国民性と文化遺伝を考える
「文化遺伝」とは、池上彰さんの著書「歴史で読み解く!世界情勢のきほん」で出会った言葉です。
この「文化遺伝」を日本の国民性に当てはめて考えてみます。
先の著書の中では、次のようなニュアンスで使われています。
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ロシアの外敵への猜疑心や潜在的な征服欲は、過去に隣国に支配されていた時の文化遺伝とも言えなくもない。
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未だにウクライナとの長い戦争が続いています。プーチン大統領が戦争に踏み切った根底には、ウクライナは元々ロシアと1つであったという歴史や、NATOが東に拡大してくるのではないかといった猜疑心があり、それはロシアの歴史的経緯から引き継がれた文化遺伝によるものだという考えです。
「文化遺伝」とは、「国民性」性という言葉に近いかもしれません。
そう考えながら、ふと、思ったことがあります。
日本人が目新しいものを警戒し、時に批判するのも文化遺伝によるものではないか と。
技術で言えば、iPhoneやAI、仮想通貨(暗号資産)、クラウドファンディング、NFTなどでしょうか。いずれも今では当たり前に耳にしますが、初めて耳にした頃はほとんどの人が否定的な考えを持っていたのではないでしょうか。お金に関わるものは詐欺だとか、よくわからないから怖いと言い、最新技術は何に使えるんだと言い、知りもしないで批判し避ける人も多くいました。
そのために、国内で浸透するまでに時間がかかり、有用な技術や仕組みの導入に世界から遅れをとっている側面も少なからずあります。
この、目新しいものを警戒することは、文化遺伝による日本人の国民性だというのが僕の考えです。
島国の日本に外から来た驚異
日本は島国ですので、大陸の国と比べると、人や文化の移動や交わりが必然的に少なくなります。
その上で日本の歴史を振り返ってみます。少なくとも、僕が歴史の授業で学んだ印象では、海の向こうからやってきたものは、当時の日本人にとって驚異的な存在として描かれています。鎌倉幕府を滅亡に追い込んだ元寇襲来、日本を開国させた黒船来航などです。
江戸時代は平和だった?
一方で、鎖国していた江戸時代はどうでしょうか。江戸幕府が諸藩の財政を逼迫させる政策をとっていたこともありますが、日本の歴史の中では比較的平和で良い時代として描かれています。
このような、歴史的背景と教育が、日本の国民性に文化遺伝として脈々と受け継がれ、今日に至っていると考えています。
まずは自分でよく調べ、正しく知ること
目新しいものを警戒することは、必ずしも悪いことではないと思います。本当に警戒すべきこともあります。
大切なのは、目新しいものを警戒するという国民性があることを自覚し、まずは自分でよく調べ、正しく知ること。その上で必要ならば批判する。この姿勢ではないでしょうか。
やってはいけないのは、よく調べもせず、大衆の意見に同調することです。
時代に取り残されないために
情報通信技術が発達し、誰でも大抵のことは調べて知ることができます。技術の進歩は目覚ましく、指数関数的に技術革新が進みます。
これまでのように、目新しいものを警戒し、ただ距離を取るだけでは、時代の変化に取り残されてしまいます。自ら調べ、正しく知ることを習慣にしたいものです。
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