②米国ポートランドとここ東京の下町と比べて「地域コミュニティとは何か?」考えてみる
前回からの続き、米国オレゴン州ポートランド(2023年5月)で多くのインプットを得て帰国後、ほっと一息つく間も無く東京は下町のお祭りに突入しました。大きくは2つのイベント「モノマチ」「鳥越祭」がとても印象的でした。そして気づいたことをまとめてみます。
モノマチ2023
私たちのお店 Rinne.barがある街は古くから製造/卸の集積地としての歴史をもつ東京都台東区南部エリア(御徒町~蔵前~浅草橋にかけての2km四方)のまんなかにあります。近くにはファッション、デザイン起業者向け創業支援デザイナーズビレッジがあり、14年前にオープンファクトリーをスタートしたことから周辺のクリエイターや職人を広く巻き込んで、今の「モノマチ」イベントになりました。このイベントは街の110の中小企業、協会員による完全なる自主運営、会員資金(手弁当)で運営をまわしています。
鳥越祭
6月の街のお祭りは、鳥越祭。都内最大級といわれる重さ約4トンもの千貫神輿が大迫力。日頃静かな下町も、とっても元気な祭り姿の老若男女が待ってましたとばかりに街中に現れます。そんな別名「江戸の喧嘩祭り」と言われる盛り上がりを見ようと毎年数十万人もの観客が小さな街にあふれます。
千貫神輿以外の時間は各町会(18の町会でそれぞれ神輿を2,3持っている)で町会神輿の練り歩きがあり、私たちも法被を来て小島2丁目町会に加勢しました。
やっと街の仲間に入れてもらった感じが嬉しい。
東京に戻って、気づいたこと
住んでいる街としっかり関わっているか
欧米のデザイン、問題解決手法を先進事例と感じて憧れてしまうけれど
自分が住んでいる街をしっかり見つめ、関わっていなかったこと、学んでいなかったことをこの一年、反省しました。
歳を重ねてきたせいかもしれないけれど、
暮らす、住むという重みは、お金を稼がなければ自律ではないと思っていた若い頃とうーんと違ってきました。
お祭り前と後とでは近隣との距離が縮みました。街のイベントに出ると、荷物の出し入れを手伝ってくれる人たちが笑顔で集まってきます。他者とのかかわりが豊かさであるということの意味をヒシヒシと感じます。
レベッカ・ソルニット著「災害ユートピア」という社会学でよく話題にあがる本があります。この本の内容は賛否がありますが、損得が優先される社会で災害というパニックが起こった際、無償の善意のコミュニティが立ち上がる喜びについてまとめられています。
本を読むと思い出すのが、東日本大震災でボランティアバスに乗った時のことです。災害ボランティア70人で陸前高田に向かう深夜特急、人の役に立ちたいというまっすぐな思い、無償の愛、優しさに包まれているバスの中で涙が溢れたこと。何より自分が癒されているんだなぁと後で感じたことです。
東京、下町の「地域コミュニティ」に入ってわかったことは、何かを起こす際の他者との繋がり、無償のコミュニティがまだあるということ。町会費は「(何のためかわからない)宴会費用に使われる」、「(必要でない関係性の)煩わしさ」と感じる人も多いけれど英語で町会はネイバーフッドアソシエーション。
市区町村がこぞって視察に行くポートランドの町会は、本来近隣の地域住民からなる組織だったけれど目的は、「住みやすさ(Livability)の向上」として市の公式システムとして認められ市政に大きな役割を果たします。この結果「全米で一番住みやすい街」として注目を集め、移住者が増えるようになりました。
東京の町会のことを知るようになると、超高齢化、参加者不足、寂れる商店街、社会システムの影響など様々な課題に気づきます。「住みやすさの向上」は誰が実現するんだろう。そんなことを考えていると日本はおばあちゃんの存在がすごいということを思うようになります。次はそんな考えをまとめてみます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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