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県の経営革新って知ってますか?

結婚していて、夫の会社で働いていた時に経営革新計画を作って、県で承認された事が有る。

当時はこれが自慢でしょうが無かった、だって殆ど自分だけで書類書いて県の産業支援センターに申請して、認められた時にはやったね!とかウキウキした。

ご存じない人には経営革新って何??と尋ねられると思うが、現在の仕事で利益が少なくなってきて、新しい事業を計画している所に、県がお墨付きを与えるのです。(今はどうか知らないが、以前はそうだった。)

お墨付きを与えたから如何なんだと突っ込みが入るかも知れない、だけど県が認めると言うのは思ったよりも実利に繋がる。

元々私も経営革新なんて考えていなかった。

だって経営革新と言っても、結果的には低利でお金が借りられる位で、その事業が上手くいかなければ、何の意味もない。

その頃、夫が知り合った男性が、竹で事業をしようと言って、夫ともう一人の友達と盛り上がっていた。

これがね、本当に盛り上がっていると言うのが正しい感じで、そこ迄事業化を考えているのなら、仕事に繋がる何かをすればいいのに、毎日の様に夜に集まって話をしていた。

そこで話していたのは、実はその人物が竹炭の特許を持っていて、それでバイオ燃料を作って売ろうと言う話だった。

『燃料として売るは良いけど、その燃料を使うための装置はどうなるのだ。』

『どんな風に材料を揃えて、何処で作って、流通はどうするんだ。』

私としては、突っ込みどころ満載のバイオ燃料の計画だったけど、丁度その頃京都議定書の話がそこここに出ていて、もし本当に上手くいったら、商売として成り立つかもしれないとは考えていた。

中小企業が全部そうだとは思わないけど、我が社はお金を借りる事が多かった。

材料を買って取り敢えず作って置いて、注文が来たら在庫から即日配送しているのだから、当然お金は大変なのだ。

仕方が無いので、政府系金融機関などに運転資金を借りたりする。

或る日の事だ、夫が新しく竹の事業をしたがっているのを、金融機関の担当者に話した。

「奥さん、それだったら経営革新を取ったら、うちはどれだけでもお金貸しますよ、取れたらですけどね。」と返された。

何やて―、うちが取れないと思っとるやろ。

チョット馬鹿にするみたいなその言い方に、そんじゃあ経営革新を取ってやろうじゃ無いの。

気持ちが一気に経営革新に傾いた。

自分自身は竹で商売をするのは、時間もお金も人材も掛かるから、簡単じゃ無いと考えていた。

それでも、このままだったら先細りの商売を何とか出来るなら、やってみる価値はある。

それで、夫とその仲間に、竹のバイオ燃料を作るに当たって、どんな風にしたいのかと聞いて、書類を書く事にした。

竹と言うのは3年位で成長して使う事が出来る、木なら何十年もかかる成長が早いのだ。

早いから木よりも沢山取って使う事が出来る、使い方も様々で布に織り込むとか、繊維を取るとかもできる。

我が社ではそんな技術は無いので、それは出来ないとしても、出来る事は他にも有る。

聞くところによると、竹は管理しないと土地に問題が起きたりして、直ぐに成長していくのに、切らなければならない。

だけど、その竹をそのまま廃棄物にするのは勿体ない、折角なら廃棄物で無く、使えた方いいでは無いか。

そんな訳で、バイオ燃料として使ったら、植物由来の燃料は燃やしてもCO2に換算されないから、これからの燃料として良いのじゃないかと言うのが、竹炭の特許を持っている人の主張だった。

「じゃあ、その竹を燃料にするのは、うちがするとして、材料は手に入れられるんですか、竹が有ってもそれを切るのに、人件費が大変そうだけど?」と聞いてみる。

「奥さん、土に問題が出るから、誰かが切る必要があるんですよ、切ったら廃棄物でしょ、廃棄物処理として貰って来て、それを焼いて細かくして型で固めたら良いじゃ無いですか。」と答える。

「じゃあ、それをどんな風に売るんですか?販売チャンネル無いと思うんですけど?」と又聞いてみる。

「奥さん、大丈夫ですよ、作ってしまったら、岐阜とかバイオ燃料暖炉を使っている所に売ったら良いんです、暖炉の会社に問い合わせたら、欲しがるところはありますよ。」ああゆうたらこういう、何か詐欺師みたいに答えが来る。

うん分かった、だけど私だって完璧に信じた訳では無い、夫は信じていたけど、詐欺師である可能性もある。

特許は調べたら、竹炭の特許を出してあるのは確認できた、それでも自分達で仕事が出来ればその方が良い。

特許って、チョットだけ違う方法を取れば抵触しないことも有る、詐欺師かどうかは解らないが、人間生きて行くと、タヌキとキツネの化かしあいだ。

この人物が居なくても仕事が出来る様に、していく為にも経営革新を取る、その頃はそんな感じで書類を整えて、県に出した。

産業支援センターや県の職員さんが間違っている所を教えてくれて、それで会社に経営革新のお墨付きが来た。

やったー、と思って、金融機関にお金を借りた。(経営革新とっても、沢山書類を出さないと貸して貰えなかったけど)

結果的にはその仕事が実になる事は無かったけど、私のできたーと言う達成感はあった。(それだけかよと言われればその通り)

どうなったかは、またの機会に。




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