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【小説】SNSの悪夢

昨日は夫が24時を過ぎての帰宅、心配で眠れない気持ちは蚊帳の外だ。

「遅かったね、連絡くれたら玄関閉めておいたのに。」一寸した愚痴を言う。

せめて帰るのが遅いのだけは言って於いて欲しい、子供と2人で居るから、玄関を開けていると危機感がある。

彼はそんな気持ちは理解できない様だ、遅くなる日の連絡があったためしがない。

「明日は出がゆっくりでもいいからいいだろ、玄関閉まってたら、鍵出さなきゃならないじゃ無いか。」彼も不服そうだ。

解らない人間には、こんな不毛な議論していてもしょうがない、それよりも食事とお風呂だ。

「ご飯は食べてきたの?」酒臭い息の匂いで、食べてきたと考えてはいる、聞くのは嫌味みたいなものだ。

「うーん、酒は飲んだけど、腹に溜まるもんじゃ無かった、お茶漬けでも作ってくれる。」また寝る時間が遅くなる。

「お風呂に入ってきて、何か作るわ。」言い捨てて、そこに在った料理をお茶漬けに変える。

お風呂も時々見に行かなければ、お酒を飲んでお風呂を入るのは危険だから、本当は食べて寝て欲しい。

彼はどんなに遅くなっても風呂に入ると言う、家に帰ってから洗い流したい何かが有るのかも知れない。

きっとお風呂は程よく温くなっているのだろう、考えながら彼に言う言葉を考えている、毎日こうでは自分の身体がキツイ。

それでも、言った所で変わらないのなら、言葉にしない方がいい、言葉が彼との壁を作るのだから。

ふうと少し溜息を付いて、今有る料理を作り変える術が上手くなったのが寂しくなる。

「風呂温かったぞ。」怒りを含んだ声が聞こえてきた、そうでしょうよ、私達はとっくに入り終えていたのだ。

「私達は随分前に入って居たから。」だから仕方が無いじゃないは言わないで置く。

「俺が帰ってくる前に湯を入れておくべきだろう、温すぎるわ。」何時に帰るかも分からないのに矛盾している、でもそこを衝くと大声を出す。

自分に収める物が増えるたびに、自分が砥がれてゆく気がする、収めている自分の刃物が鋭くなっているのだ。

「ごめんなさい。」一言答えると、納得した顔になる、自分が正しいと言いたいのだろう。

「旨いな。」一言だけいって、そこに在る変化させた料理を掻き込んでいる。

食べ終わると、先にベットに行って寝てしまう、お風呂の湯を落とし、後片付けをして、ベットを見ると、もういびきをかいて寝ている。

夜がどんなに遅くても、忙しい朝は始まる、朝ごはんとお弁当を作ってやっと落ち着く、それから仕事だ。






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