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【小説】SNSの悪夢

駅員と共に駅長室に男を連れてゆく、女性たちはもう待っていて、そこで被害を言いそうだ。

「この人、ほぼ毎日痴漢しているんです。」えりが最初に発言する、たぶん触られていた人間は直ぐには声が出せなかったのだ。

「ちょっと待ってくださいね、今日痴漢と言ったのは、どちらですか?」駅員が困惑した顔を見せる。

「それは私です。」手を取って駅に下ろした女性が言った。

自分はその間に自分の動画を確認する、手が動いて綺麗には取れていないが、痴漢していたらしいことと、男の手は解る。

「電車に乗って直ぐから、ずっと触られていたんです、気持ち悪くて。」女性がイヤそうに話出す。

「チョット触られたくらいで文句言ってくるけど、私がしたって証拠でもあるんですか、名誉棄損で訴えますよ。」なんとも強気な言葉だ。

「私は触ってた手を掴んで上に上げたんです、あなたの手だったのなら、あなたが痴漢していたんじゃ無いですか。」女性が憤慨して大声になる。

「えーと、あなたは痴漢していた手を掴んで上に挙げたって言うんですね。」駅員がオウムの様に聞き直す。

「そうです、触ってた手を掴んだんです。」女性はきっぱりと言い放つ。

「エ~と、あなたは自分が痴漢して居ないと言うんですよね。」駅員が今度は男の方に向いて確認する。

「証拠を見せろと言っているんです、言いがかりで罪だと言われるのはうんざりだ。」男も引かない。

「困りましたね、警察を呼んだ方か良いと思うんですけど、宜しいですよね。」駅員が聞いてくる。

「そうですね、警察を呼んで下さい。」女性が即座に返す。

「私、証拠を持っていますよ。」携帯をひらひらさせ乍ら、話の輪に入ってゆく。

「証拠ですか???」駅員と男が素っ頓狂な声を出す、痴漢で証拠はそれ程少ないのだ。

「ええ、あの電車は痴漢が多くて困っているという相談が、探偵事務所に来ましてね、私は動画撮影しながら電車に乗っていたんですよ。」以前アルバイトで仕事をしていた実在の探偵事務所の名を出した。

自分は仕事を頼まれてはいない、なので電話を掛けたら、自分が仕事を頼まれていないのは解かる。

でもこんな時に、わざわざ電話をするだろうか?

電話で確かめてみると言っても、知り合いだから悪いようにはしないだろう。

自分が動画を拡散したので無ければ、罪に問う事は出来ない筈だ、撮影罪は裸や下着を取る行為になる、それに保管はしはしていない。

警察にはお小言を言われるかもしれないが軽微だろう、動画を見せながらそう考えていた。



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