「未分化の記憶」開催中!
個展開催中です。
私の切り絵や型染めなどの作品を、空間演出家の北野雪経氏の手で展示を行い、作り上げたインスタレーションです。
自分で言うのもなんですが、とてもきれいな空間です。
自分が見たかった美しい景色です。
ぜひご覧いただけたらと思います。
この展示のテーマが「記憶」です。
私たちの頭な中にはたくさんの記憶がしまわれていて、普段は自分でも思い出せないのに、ふとしたときに蘇ることがあります。
そんな記憶の引き出しを開けることができるような展示を目指しました。
脈絡もなく、断片的なのに、蘇ったときには鮮烈なインパクトを与えるような記憶が、たくさんあるはずです。
言葉によるコミュニケーションは便利ですが、時として難しいことがあります。
誤解を生んだり、言葉そのものが通じなかったり。
アートができるコミュニケーションは、「感覚」そのものではないかと思います。
私の作品でなにか見た人の感覚を動かすことができたなら、それはある種のコミュニケーションの完成で、さらにそれが「共感」を生むことができたら、アートとしての役割がはたせるのではないかと思っています。
だから展示ができたらそれで完成ではなく、来てくださった方の声を集めています。
展示を見て、何か連想するものはありましたか。
なにか思い出すものはありましたか。
どんな感覚や感情を呼び起こせたか書いてもらって、できればそれを共有したいと思っています。
中には、ずいぶん考えながら、時間をかけて書いておられる方もいて、もうそれは創作活動の時間です。ひとが何かを作っている姿は、とても素敵です。
私自身の記憶をひとつ。
大学の同級生が亡くなったことを聞いたとき。
卒業してからずいぶんたっていたし、悲しみよりも後悔の念が強く感じられました。一回も会うことなく、会おうともしてこなかった自分への後悔と後ろめたさ。
それが、別の同級生と電話で話しているとき、急にある画像が頭にパンと浮かんだのです。亡くなった彼が煙草を吸っていた時の手の形。あまり長くない指で、ちょこんと煙草をはさんで、にこにこしながら散らかった学校の作業部屋でしゃべっていたときの、手の形が、鮮明に。
そんなことを覚えているなんて思いもかけず、感情が高ぶり、どっと涙が出ました。
記憶が蘇ったのも、それで感情が高ぶったのも、すべては私の脳の中で、勝手におこったこと。
脳の不思議。
「未分化の記憶」とは、
頭の中でふっと浮かんださまざまな記憶が、はっきりとした形になる前の瞬間を切り取って提示し、それを見た人がそこから自分の記憶を完成させる意味をこめています。
ぜひ見ていただいて、よみがえった記憶の断片を教えて下さい。
Sachiko Tanouchi 個展
「未分化の記憶」
2024/6/28~7/7(会期中無休)
13:00~19:00
入場料500円
studio sizma
大阪市東成区中本5-27-15-3F
studio.sizma@gmail.com
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