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【トルコ】日本語で励まし合いながら昇った坂道: 冒険の後半

イスタンブールのヨーロッパ側旧市街地で
ケータイの充電が終わり
娘がリュックから地図を出した所までは、前編に。

ここで、なにが心配かと言うと


この日は国際メーデーでデモがあり最寄駅が終日閉鎖されていた。
電車もトラムもタクシーも入れない。


そしてケータイが使えないから
最短ルートの検索ができない。

トラムの一個手前で降りて、
坂道を歩いていくしか
選択肢はなかろうかと思う。

でも道がわからない!


まずは、橋の袂でバスを降りる。
夫は船で渡ってのんびりしてたら深夜0時を回るんじゃない。それからタクシーで坂の上まで行こうって。一瞬考えたけど、暗いし怖そう。やめておこう。

娘が言った。
「はい、電車に乗って、それから歩くよ。」

電車の車内には酔っぱらいがいてケンカしていた。
UAEでは、見たことない風景。
ちょっと怖気付く。


あっという間に手前の駅に着いた。
この先営業はしていません、終点ですの放送付き。

よし
ここから。

駅前が真っ暗。
右も左も
かすかな街灯が頼りない。

娘が地図を見る。
ちょっと行って、
そこから左に曲がって
真っ直ぐ。


急な坂道。
今朝降りて行っただけでも足が疲れたのに、と
心臓破りの坂道を前に、怖気ついた。


「ねえ、ホテルに電話して迎えに来てもらおう。」
「残念、ケータイの充電ありません。」

「ねえ、この道で大丈夫なの?暗すぎるんじゃない?」
「地図だと、ここだから。」

そんなことを言いながら歩いた。すると

「待ってください〜、ねえ〜待って〜」
階段を登り始めると下から声がした。
スカーフの巻き方を見ると
インドネシアから来たグループの女性達のようだ。


道が暗くて怖いから一緒に行ってくださいって。
彼女達は携帯を手に、地図を見ながら歩いてる。
もちろん、一緒に行きましょう!

ガンバレ〜
ガンバレ〜
ヨイショヨイショ

なぜか日本語で励ましあい、そして大通りで別れた。

息子は終始無言
もう限界だったのだと思う。


UAEでは、暑くて車社会だから
外を歩く機会が、あまりない。

夏は暑すぎて歩けないし
強いて言うなら、ショッピングモールの中を歩くくらい。



母の勘
これは、まずい。


ラッキーな事に、近くに酒屋さんがあった。
冷たい水と氷をください!


ポケットにちょうど紙幣が入っていた。
お釣りいらないから
お願い、すぐにください。
とにかく冷やしたかった。


外では夫が、身体を寄りかからせていた。

顔を洗って
水を飲ませる。



大丈夫?

うん。


やっとの事で、
ホテルに辿り着いた。


手も震えるし
足もガクガク。

どうやって部屋まで帰ったのか分からないくらいだけど、
よく手を洗って
歯を磨いて
うがいしてって

家族に、しつこくて嫌われそうになる位に
言い続けた事だけは覚えている。


携帯電話のない暮らしが
久しぶりで

ホテルでもらった地図が
こんなにも情報豊富で
路線図
路面図
全て欲しい情報が載っていて助かった事にも驚いた。

ケータイがなくても
なんとかなる、いや、あったほうがいい。。。


無事に部屋まで辿り着けて
本当によかった。

そういう一日でした。