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【ショートストーリー】 触れる

 君の眼が勘違いさせる、解らなくなるの。君のいびきを聞くのも幸福のひとつと、知ってしまったので更に虚しい。君の寝ている横顔、目に焼き付ける。君のキスで震える身体が、君を好きだと伝えている。最も幸せで切ない行い。
 互いを秘密の存在にしていても、いつか誇って、後に繋げたい。でも現在が幸せである故、容易に進むことはできない。恐らくそれは脆く儚く崩れやすい。一度繋がれば、二度と離したくない。脆いものは不確かだもの。
 君の誘いへの応え、後悔はないけれど。しかし例えば別の時間空間で出逢ったとして、これと同様に君に惚れようことは想像に難くない。
 君がここに居た柔らかな余韻は、残り香より長く続くでしょう。君の感触が忘れられるより先に、また会って。その時は私に、恋をしてくれる?




ここまで降りてきてくださって、ありがとうございます。優しい君が、素敵な1日/夜を過ごされますように。