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母の味

母はあまり料理をする人ではなかった
商売をしていて忙しかったこともあるだろう。
もしかしたら幼いころ、父が生きていたころは
たぶん毎日、料理をしていたのだろうけれど
わたしは幼すぎてその味を覚えていない
奈良の叔母(母の姉)は
とても料理が好きで上手だったから
母も上手だったのかもしれないけど。
母の手料理で覚えているのは
炊き込みご飯とばら寿司。
それはわたしが結婚してからも
たまに作って持ってきてくれたから
美味しかったという記憶はある。
じゃ、わたしは誰に料理を習ったのか
母やおばには習っていない
家庭科で習った
あと週に一度、2年間くらい
家の近くの小さな料理教室に通った
1年間は家庭料理の基本みたいなもの
後の1年はおかし教室
家庭科と同じようなグループ学習だった
そのときのノートは今も残っている
それだけなのだけれど
もともとセンスがよかったのか
自分で言うのもなんだけれど
わたしは料理が上手だ
料理が好きだ。分量は目分量。
おおざっぱだ。
でも美味しい。
ま、自分で作って自分で食べるのだから
美味しくて当たり前。
自分の好きな味にするのだものね。
だけど夫も美味しいと言ってくれるし
友人たちも美味しいと言ってくれるから
ま、とびきりでなくてもある程度の腕前。
でも、これぞ、という料理はないような気がする。
わたしの味、わたしの料理。
子供がいないからかもしれない。
子供にとっての思い出の味、
それをずっと食べて育って血肉となった味。
母の味の料理はわたしにはないから。

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