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その日(1)

その日が来た
その日は突然に来た
いや、そろそろだと
思っていた
今週中だろうな、と
遅くとも今週末、
でも
彼女はしぶといから
もしかしたら今月いっぱい
それはきついかも‥。
そんなふうに考えてたら
それは突然だった
昨日、4月8日
花まつり(灌仏会)
絶対に忘れない日だ

月曜日は訪問入浴の日
9時に来られるから
いつもより早く朝8時に
1階のシャッターを
開けに行った夫が
寝室に来て
お母さんが息をしていない、と。
いそいで1階に様子を見に行く
冗談みたいに
母は息をしていない
嘘だろう?と思った
でもたしかに呼吸が止まってる
一瞬あたふた、何をすれば?
でもすぐに気を取り直し
夫に
病院に連絡して、と頼む
夫の電話の声、会話を
頭の隅で聞きながら
わたしは妹に電話をする
よかった
連絡がついた
すぐ来てくれるとのこと
病院にも連絡がついたようだ
母の様子をよく見ると
パジャマの襟元が少し汚れている
麻痺のある右側の口元にも
黒い吐しゃ物の跡がほんの少し。
でもとても穏やかな表情で
苦しんだ様子もないから
吐しゃ物で窒息したわけではないだろう。
訪問入浴のために
前夜から用意していた着換えと
セットしておいたおむつ
看護師さんを待つ間
夫に手伝ってもらって
からだを綺麗にしてあげる
(つづく)


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